株式投資でスクリーニング機能の使い方

株式投資をする上で、スクリーニング機能を使って銘柄検索をする人は多いです。日本の上場企業は3,500社以上もあり、その中から銘柄を選ぶことは至難の技です。スクリーニング機能は、条件設定を行えば自動で銘柄を絞り込んでくれるため個人投資家にとって大きな味方になってくれるのです。

しかし、いくらスクリーニング機能が便利といっても、自分で条件設定をしなければ使いこなすことはできません。

そこで今回は、株式投資初心者の方がスクリーニング機能を使いこなし、銘柄選びをスムーズに行う方法を徹底解説していきます。

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スクリーニング機能は条件設定から

引用:楽天証券 スーパースクリーナー

スクリーニング機能とは、チャートの形や企業の業績など様々な条件を指定することで、自動的に銘柄を絞り込んでくれるツールです。ほとんどの証券会社が提供しており、中には口座開設をしていなくても無料でスクリーニング機能が使えるツールも存在します。

しかし株式投資初心者にとって、スクリーニング機能は便利なツールになる一方、最初の壁となるのは条件設定です。上記の楽天証券のスクリーニング機能を見てみると、多くの項目があり、それぞれ条件設定をしなければなりません。どの項目をどの数値で設定するのかを自分で決めなければ、スクリーニング機能は使いこなせないのです。

そこで今回は、著名投資家ウォーレン・バフェットのような割安銘柄の探し方と、高配当銘柄の探し方の2つに絞ってスクリーニングの条件設定をご紹介していきます。

株式のスクリーニング機能の使い方①割安銘柄の探し方

株式投資で利益を出すには「値上り益」を狙う方法と、「配当金」を狙う方法の2つの方法があります。まずは割安かつ成長する可能性が高い銘柄の条件設定からご紹介していきます。

割安・成長株の条件設定

  1. PER:15倍以下
  2. PBR:1.5倍以下
  3. ROE:10%以上
  4. 時価総額:300億円以下
  5. 売上高の伸び率:10%以上

①PERは15倍以下

PERとは「株価収益率」のことで、企業の利益に対して現在の株価が割安かをどうかを見る指標です。PERが低いほど割安と判断されます。2020年12月25日現在、日経平均株価の平均PERは約24倍ということを踏まえると、15倍以下の銘柄を絞り込むと良いです。

実は現在の日経平均株価は全体的に割高な水準で、日経平均株価に採用されていない銘柄も含めるとPERはおよそ15倍程度が平均といわれます。そのため一般的にPERは、15倍以下の銘柄は割安と判断されることが多いです。

ただしPERを見る上で注意点があります。先ほどPERは低いほど割安とお伝えしましたが、中にはPERがマイナスの銘柄も存在します。PERがマイナスということがどういうことかというと、企業の利益がマイナスであることを表しています。

PERの計算式
PER(倍)=株価÷1株あたりの純利益

上記の計算式から1株あたりの純利益がマイナスであれば、必然的にPERはマイナスになります。どのような要因で純利益がマイナスになっているかを確認する必要がありますが、初心者の方はPERがマイナスの銘柄は避けた方がいいです。

②PBRは1.5倍以下

PBRとは株価純資産倍率のことで、株価が1株当たりの純資産に対して何倍まで買われているのかを示します。言い換えれば、現在の株価が企業の資産価値(解散価値)に対して、割高か割安かを判断することが可能です。

PBRの計算式
PBR(倍)=株価÷1株あたりの純資産

PBRが1倍の時は、株価と1株当たりの純資産は一致していることになります。つまりPBRが1倍の時、理論上もし企業が倒産をしても、株主には投資した金額と同じ金額が戻ってくるといえます。

PBRが1倍以上の時は、現在の株価が1株あたりの純資産よりも高く割高と判断され、1倍以下であれば現在の株価が1株あたりの純資産より低いため割安と判断されます。ただしPBRにも注意点があります。

そもそも株価が企業の資産価値より低い状態、つまりPBRが1倍以下ということは理論上考えにくいのです。もしPBRが1倍以下の銘柄に投資し、その銘柄を発行する企業が倒産すると投資した金額以上のお金が戻ってくることになります。もしそうであれば、誰しもがPBR1倍以下の銘柄に飛びつくことになるでしょう。

これらを踏まえるとPBRは1~1.5倍以下の銘柄を狙っていくと良いです。

③ROEは10%以上

ROEとは自己資本利益率のことで、この数値が高いほど企業が限られた自己資本の中で効率的に利益を上げていることになります。つまりROEが高い銘柄ほど、投資家から集めたお金を上手く使って、効率的に利益を上げる優秀な企業と判断できます。

日本経済新聞の調べによると、2020年3月末時点での東証1部上場企業のROEの平均は6.7%となっています。

日本経済新聞の記事
引用:日本経済新聞

このようなデータを踏まえると、ROEは10%以上の銘柄を狙いたいところです。

④時価総額は300億円以下

時価総額とは、株価に発行済み株式数をかけた数値です。大企業になるほど時価総額が大きくなります。今回は成長株を狙うため、時価総額は300億円以下の銘柄に絞り込みます。

時価総額が300億円以下の企業を見てみると、ほとんどが上場して間もないか、まだ事業規模が小さい状態です。つまりまだ発行済み株式数も少なく、これから大きく成長している可能性を秘めている可能性があります。

東証一部上場企業の銘柄の多くは、時価総額300億円以上であるため、狙っていく市場は東証マザーズやジャスダックなどの新興市場の銘柄となります。

⑤売上高の伸び率は10%以上

売上高は株価に比例するといわれ、売上高が高くなれば株価も上昇していきます。しかし単に売上高が高い銘柄を狙うだけでは、それ以上の成長が見込めず、思うように株価が上昇しない可能性があります。

そこで売上高の「伸び率」に注目します。決算において前期の決算からどれくらい売上高が伸びたのかを示すのが売上高伸び率で、この数値が10%以上の銘柄に絞り込みましょう。

ただし売上高伸び率を見るにも注意点があります。それは四半期ごとの決算の売上高伸び率ではなく、単年で比較するようにしましょう。特に季節変動や特需などが多い企業などは、四半期によって決算結果も大きく変わることがあるためです。

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株式のスクリーニングの条件設定②高配当銘柄の探し方

続いて高配当銘柄の探し方をお伝えしていきます。株式の魅力の一つともいえる配当金で、配当生活を夢見ている人もいらっしゃるかもしれません。配当金を多く出す銘柄は、経営状態や財務状態が良好であり、多くの投資から資金を集めます。それでは高配当銘柄の条件設定を見ていきましょう。

条件設定

  1. PER:15倍以下
  2. PBR:1.5倍以下
  3. ROE:10%以上
  4. 配当利回り:2.5%以上
  5. 時価総額:300億円以上

①~③の設定条件は割安銘柄の条件と変わりません。

まずは④配当利回りの条件設定をしていきます。配当利回りとは、1株あたりの年間配当金に対して1株あたりの購入金額のことです。配当利回りが高いということは、投資した金額に対してより多くの配当金を受け取ることができるといえます。

現在の東証一部上場企業の平均配当利回りが1.96%であることを踏まえると、2.5%以上で条件を絞り込むと良いです。ただし配当利回りにも注意点があります。

配当利回りは1株あたりの購入金額に影響を受けます。つまり現在の株価がなんらかの原因により極端に低くなり、配当金が変わらない場合も考えられます。この場合、企業が経営状態や財務状態が悪いにも関わらず無理をして配当金を出している可能性があるのです。これを踏まえると、配当利回りは高くても4%くらいを目途にすると良いです。

また高配当銘柄を探す時は割安銘柄の条件と異なり、時価総額は300億円以上の銘柄で絞り込みを行います。時価総額が大きい銘柄は、キャッシュが豊富で高い配当金を出し続けてくれる可能性が高いためです。ただしこのような銘柄は人気も高いため、PERやPBRが高くなる傾向があり、その場合は少し他の条件を緩めるなどの対処をしていきましょう。

スクリーニングだけではなく過去のチャートやビジネスモデルもチェック

パソコンでチャートを見る男性
株式投資の銘柄選びはスクリーニング機能を使えば、効率的に探すことができます。しかしスクリーニングで銘柄を絞り込むだけではなく、実はあと2つ確認しておきたいことがあります。

まず1つは過去のチャートです。トレードする期間にもよりますが、少なくとも過去10年分のチャートは確認してください(上場から10年経っていない銘柄は上場してから現在までのチャート)。以下のニトリ(9843)チャートを見てください。

引用:Yahoo!ファイナンス

こちらのチャートを見てみると、現在の株価は過去10年の間でもかなり高い位置にいることが確認できます。つまりチャート上では株価が高い位置にいるため、ここから直近の安値などに下がる可能性が考えられます。

一概に現在の株価が高いから、今後株価が下がるとはいえませんが、下落するリスクがあるということを頭にいれておきましょう。

一方で、以下のパナソニック(6752)のチャートを見てみましょう。

引用:Yahoo!ファイナンス

パナソニックの過去10年間のチャートを見てみると、現在の株価高い位置にいるとはいえません。直近で底値を付けたあと、少しずつ上昇していることが確認できるでしょう。つまりニトリに比べてパナソニックの方が、今後の株価下落リスクが低いとも考えられます。

ただし過去10年のチャートを見るだけではなく、なぜ現在の株価になっているのかを分析することも大事です。そのためには、銘柄を発行する企業のビジネスモデル、特に安定的かつ収益性の高いビジネスモデルなのかどうかなどもチェックしておく必要があるでしょう。

たとえばニトリの場合、コロナショックでいわゆる「巣ごもり消費」が増えたため、2020年3月あたりから株価が上昇していることが確認できます。一方で、製造業であるパナソニックはコロナショックの後で2020年の株価は低調です。

このように購入しようとする銘柄が、どのような企業なのかを知っておくということは、株式投資において必ずチェックしておきたいところです。

⇒配当狙いの方にもおすすめディフェンシブ銘柄とは?こちらからチェック!

自分のトレードスタイルを確立させる

パソコンの前でガッツポーズする女性
株式投資をする上で、スクリーニング機能はぜひ使いこなしたいツールです。今回は一般的な条件設定の方法をお伝えしてきましたが、相場の具合や自分のリスク許容度によって数値を変更しましょう

株式のスクリーニング機能を使いこなすためには、まずは自分のトレードスタイルを決めることです。目をつけている株に、どのような期待をするかによって条件設定が変わってきます。そのためには自分のトレードスタイルを確立させることが、まずは大切といえます。

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