株式投資の方法には、「バリュー投資」と「グロース投資」という2つの有名なやり方があります。投資家が集まると、バリュー投資とグロース投資のどちらが優れているかなどが論争になりがちです。
これらの投資方法はどちらも良い面と悪い面があります。
この記事ではバリュー投資とグロース投資の違いを解説するので、自分に合った投資方法を選ぶヒントにしてください。
この記事の目次
バリュー投資とグロース投資
バリュー投資とグロース投資は、どちらも株式を安く買って高く売る投資方法です。どんな銘柄に投資するのか、銘柄の選び方が異なります。まずはバリュー投資とグロース投資の定義を詳しく見ていきましょう。
バリュー投資とは?
バリュー投資とは、企業の本来の価値に比べて割安に放置されている株式に投資する方法です。
割安ということは、これから株価が上がりやすいと考えられます。市場が評価が見直されるだけで、株価が本来の水準まで上がってくるからです。このような割安な銘柄を探すのが、バリュー投資です。
バリュー投資に向いた株式は「バリュー株」または「割安株」と呼ばれています。
グロース投資とは?
グロース投資とは、これから急成長すると考えられる企業に投資する方法です。商品開発力や利益の伸び率などから将来性を判断し、大きく成長する企業にいち早く投資を行います。
これまでの例で言うと、ユニクロのファーストリテイリングやファッション通販サイトZOZOTOWNを運営するZOZOなどが、大きく値上がりしました。創業当時は誰も知らない会社でしたが、10年程度で誰もが利用する大企業になって株価も大きく伸びました。グロース投資では、次なるファーストリテイリングやZOZOを探していく形になります。
グロース投資に向いている株式を「グロース株」または「成長株」と呼びます。
バリュー投資とグロース投資の違い
ご説明したとおり、バリュー投資は割安株に投資し、グロース投資は成長株に投資する違いがあります。いずれも株価の値上がりによる利益を狙った投資方法ですが、「株価が上がる株式の探し方」が異なるのです。
バリュー投資とグロース投資の比較
バリュー投資とグロース投資の違いがわかったら、どちらが自分に向いているのかを3つの観点から考えていきましょう。2つの投資方法を以下の観点で比較したので、自分の目的に合っている投資方法や自分にもできそうだと感じる方法をやってみましょう。
- 投資の難易度
- 利回りの大小
- 失敗しにくさ
投資の難易度
投資の難易度は、グロース投資の方が難しく、バリュー投資の方が簡単な傾向があります。どちらも銘柄分析の知識が必要なので簡単ではありませんが、比べるとバリュー投資の方が手を出しやすいです。
バリュー投資の難易度が低いのは、参考にする指標がある程度は決まっているからです。基本的には、PER(株価収益率)とPBR(株価純資産倍率)を見て、その銘柄の割安感を評価します。
PERは、株価を1株あたりの純利益で割った指標です。PERが低いほど、株価に対して純利益が大きいことを示すので、割安であると言えます。
PBRは、株価を1株当たりの純資産で割った指標です。PBRが1を下回っていると、純資産に対して企業価値が低く評価されていることになるので、割安であると言えます。
他にも判断材料はありますが、バリュー投資で重要なのは主にPERとPBRです。これらの指標は証券会社の銘柄分析のページに掲載されているので、自分で計算する必要もなく、簡単に調べられます。よって、難易度が低い投資方法といえます。
一方のグロース投資では、売上高や営業利益、経常利益などの推移を見ます。「この数値を上回れば成長株」といった判断基準がないので、企業の事業計画などを基に成長性を自力で判断しなければなりません。
以上のように、指標や基準がはっきりしているバリュー投資に比べると、グロース投資の方が難しいと言えるでしょう。
利回りの大小
利回りは、グロース投資の方が大きく、バリュー投資の方が小さい傾向があります。あくまでも傾向であり、銘柄によっては逆転することもあります。
グロース投資の場合、成功すれば数年で10倍に株価が上がることもあります。市場からの評価が定まっていないスタートアップ企業の成長なので、短期間で急成長する可能性が見込めるのです。そのため、利回りは高い傾向があります。
一方、バリュー投資の場合、値上がり幅はそこまで大きくない傾向があります。市場の評価(=株価)と実態が著しくかけ離れているケースが少ないからです。
割安株への投資は、大きな利益を追求するというより、「今よりも値下がりするリスクが低い」という意味合いの方が強いです。株価がどんどん上がる銘柄に投資したいなら、グロース株の方が合っていると考えられます。
失敗しにくさ
失敗しにくさを比べると、バリュー投資の方が失敗しにくいと言えます。グロース投資は、失敗したときの損失が大きくなりやすいです。
グロース投資の銘柄は、業績が不安定なスタートアップ企業や中小企業であることが多いです。事業がうまくいって大きく成長すれば株価の値上がりによる利益を得られますが、失敗する可能性も高いのです。事業に失敗すれば株価は下がりますし、最悪の場合、会社が倒産してしまいます。
よって、グロース投資はハイリスク・ハイリターンの投資方法です。大きな利益を狙えるメリットがある反面、元本割れのリスクも大きいのです。
それに比べると、バリュー投資の方が失敗したときの損失は小さくて済むことが多いです。大手の有名企業でも割安で放置されている株式は多く、このような銘柄に投資をすれば業績は安定しているので、大損はしにくいのです。
近頃は大企業でも不祥事や粉飾決算などで株価が大暴落する例もありましたが、大手だから目立っているだけ、とも言えます。倒産の割合は中小企業よりも大手の方がずっと低いので、低リスクな投資がしたいなら、安定した企業で割安株を探すと良いでしょう。
バリュー投資とグロース投資の注意点
バリュー投資とグロース投資における銘柄の選び方についても解説してきましたが、これらの投資方法は値上がりしやすそうな銘柄を探せるものです。必ず値上がりする株式を見つけられるわけではありません。
実際、PBRやPERから割安だと判断される場合でも、景気に左右されて株価が下がるケースもあります。また、指標からは割安であると読み取れても、企業の実力もその程度であり、割安が適正な評価であるという場合もあります。
グロース株でも同様に、必ず値上がりする株式を見つけられるわけではありません。投資に絶対は無いので元本割れのリスクを理解して挑んでいただきたいのと、分かりやすい指標だけを確認して投資をするのはやめてください。企業の事業を把握し、将来性を自分なりに考えてから、投資判断を行いましょう。
投資経験が浅い方にはバリュー投資がおすすめ
バリュー投資とグロース投資の違いについて解説してきました。
どちらも株価が上がることによる値上がり益を狙った投資方法ですが、銘柄の探し方が異なります。それに伴い、投資の難易度や利回り、失敗しにくさも異なります。
好きな方を選んでいただければと思いますが、投資経験が浅い初心者の方にはバリュー投資の方が難易度が低くおすすめです。