退職金としてまとまったお金を一度にもらうと、預金や運用方法をどうしたらいいのか迷ってしまう方が多いです。
お金の教育を受けていない我々日本人は、お金の扱いについて選択肢が少ないため、
そのまま通帳に入れて預金する
銀行の窓口の方から進められたとおりの金融商品を買ってみる
という方がほとんどではないでしょうか。
そんな悩みに答えるように、普通の定期預金とは別に、退職金専用の定期預金のプランがある銀行が増えてきています。
この記事では、退職金専用の定期預金の仕組みや特徴、メリット・デメリットを解説していきます。
この記事の目次
退職金専用の定期預金とは?
退職金専用の定期預金がどんなものなのか解説していきます。その前に「定期預金」が分からないと理解しにくいので、こちらの用語から解説していきましょう。
普通預金と定期預金の違い
皆さんが給与の振込口座に指定して普段使いしているのは、「普通預金」という種類の預金です。その他の個人の方が使いやすい預金に「定期預金」があります。
定期預金は、普通預金よりも金利が高いメリットがあります。ネット銀行の場合、普通預金の金利は0.001%程度ですが、定期預金なら0.02%程度で、20倍も違います。
金利が高い代わりに、定期預金には引き出し制限があります。預金するときに預ける期間を決め、その間は原則として解約できません。解約すると普通預金と同じくらいの金利に変更されてしまうので、せっかく高金利で預金したのに無駄になってしまいます。自由に引き出しできる点では、普通預金に軍配が上がります。
なお、ゆうちょ銀行の場合は預金ではなく貯金になります。普通貯金、定期貯金と言う言い方をしますが、意味は上述の普通預金や定期預金と同じです。
普通の定期預金と退職金専用の定期預金
定期預金は自由に引き出せないので、使う予定が無いお金をしばらく寝かせておくのに使う人が多いです。退職金も、リタイアしてすぐに全額使うわけではないので、一部を定期預金で運用したい方は大勢いらっしゃるでしょう。
定期預金には退職金専用の商品があります。300万円〜500万円といったまとまったお金を預ける代わりに、普通の定期預金よりも高い金利で契約できます。メガバンクでも高金利を用意していることが多いので、ぜひ活用したい商品です。
次の章では、退職金専用の定期預金の特徴をもっと詳しく見ていきましょう。
退職金専用の定期預金の特徴
退職金専用の定期預金について、金利や条件を解説していきます。高い金利のメリットがある反面、条件が普通の定期預金と違うデメリットがあるので、よく読んでから申し込みをしましょう。
適用される金利の例
メガバンクでは、三井住友銀行と三菱UFJ銀行が退職金専用の定期預金を取り扱っています。
三井住友銀行のプランでは、年0.5%の金利で3ヶ月間預けることができます。普通の定期預金の金利は0.002%なので、退職金専用のプランは非常に高く設定されていることが分かります。
三菱UFJ銀行では、0.8%の金利で3カ月間預けられる定期預金があります。こちらも普通の定期預金の金利は0.002%なので、退職金専用のプランの方が金利が高くてお得です。
以上のように、普通の定期預金の金利が低い銀行でも、退職金専用のプランは高金利を設定しています。
元本保証の預金で0.5%〜0.8%といった高金利を実現できるのは、退職金専用プランだけと言えるくらい珍しいので、ぜひ活用しましょう。
預金できる期間
既に触れたように、退職金専用の定期預金の場合、預け入れられる期間は3ヶ月であることが多いです。一般的な定期預金だと、1ヵ月から10年など幅広い期間から選べるのですが、退職金専用の定期預金は3ヶ月と短めの設定です。
期間が短いのは、高い金利に設定されていることが大きな要因です。退職金専用の定期預金は、期間限定のキャンペーン金利に似たようなもの、と思っておくのが良いでしょう。
すなわち、3ヶ月を過ぎてからも銀行の定期預金を継続した場合、普通のプランに変わるので低金利になってしまいます。3ヶ月だけ退職金専用の定期預金で運用したら、その後は他の投資商品も視野に入れるなど、柔軟に対応できるのがベストです。
預金する金額の条件
退職金専用の定期預金の場合、預金する金額に条件が設けられています。三井住友銀行は500万円以上、退職金の受取額までです。
三菱UFJ銀行は、1000万円以上5000万円以下です。三菱UFJ銀行の方は、退職金に加えて他に貯めていたお金を合わせても、5000万円以下なら退職金専用プランに申し込むことができます。
普通の定期預金は1万円などの少額でも申し込めるのですが、退職金専用プランはそうは行きません。
退職金の受取から1年以内に申し込む
退職金専用の定期預金は、退職金を受け取ってから1年以内に申し込むことを条件にしていることが多いです。最近は2年以内を条件とするプランもあるので、最新情報は銀行のホームページや窓口でご確認ください。
この期間を過ぎてからだと、申し込むことができません。退職金専用の定期預金は、退職金をもらってから最初の運用方法として考えておくと良いでしょう。
退職金専用の定期預金のリスク
退職金専用の定期預金は高金利なのでぜひ活用したいのですが、金額が大きくなるとリスクが出てきます。安全そうなイメージがある銀行預金のリスクを解説するので、損をしない退職金の運用のために役立ててください。
1つの金融機関に1000万円以上を預けない
銀行の預金は元本保証のイメージがありますが、無制限に保証されるわけではありません。万が一のときに預金が減らないよう、1つの金融機関に大金を預けるのは、やめておいた方が無難です。
銀行には「ペイオフ」という制度があります。これは、1金融機関・1預金者あたり元本1000万円までとその利息などが保護される制度です。銀行に倒産など万が一のことが起きた場合でも、1000万円までは預金者の手元に戻ってきます。
裏を返すと、1000万円を超える元本は、万が一の時に失われる可能性があります。退職金は2000万円など大きな金額になる場合がありますが、全額を1つの金融機関に預けるのはリスクがあるので、複数の銀行に分散しましょう。
また、ペイオフは定期預金を普通預金を合算した預金額についての制度です。定期預金だけでなく普通預金など銀行の預金を合算して、1金融機関あたり1000万円以下になるよう、工夫しましょう。
退職金専用の定期預金に申し込めない場合はどうする?
退職金を受け取ってから1年以上過ぎてしまった場合や、3ヶ月の運用が終わった場合など、これから退職金専用の定期預金に申し込めない人もいると思います。他にはどんな運用方法があるのか見ていきましょう。
普通の定期預金を使う
退職金専用の定期預金の運用が終わったら、普通の定期預金に切り替えて運用を続けることができます。ペイオフに注意すれば、元本保証で退職金を運用し続けることができます。
デメリットは、退職金のプランよりも金利が低いことです。メガバンクや地方銀行よりもネット銀行の方が金利が高い傾向にあるので、ネット銀行で預け先の候補を探すと良いかもしれません。
他の運用方法を試す
預金よりも高い利回りを狙いたいなら、投資信託などで運用するのがおすすめです。投資信託とは、投資会社が投資家のお金を預かって代わりに運用する商品です。プロが運用していることや、様々な投資先に分散投資していることなどから、投資商品の中では低リスクです。
投資信託の利回りは1%〜3%程度が目安となります。退職金専用の定期預金でも0.5%〜1%程度の金利なので、投資信託の方が高い収益を期待することができます。
ただし、預金と違って元本割れのリスクはあります。万が一にも退職金が激減したら生活に支障が出てしまうと思いますので、投資に使うのは退職金の一部に留めておきましょう。
大切な退職金を有意義に使うために
退職金専用の定期預金の仕組みを中心に解説してきました。普通の定期預金よりも高金利というメリットがある反面、預入期間の短さや金額の制限などのデメリットがある商品です。
とはいえ、元本保証で0.5%〜1%もの高い金利が狙える商品はとても貴重です。お得な商品なので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。
また、せっかく受け取る退職金をより有意義に使うために、今から投資の勉強を始めませんか?「怪しい」「危ない」という先入観だけで投資をしないのは、とてももったいないことです。
ぜひお金の知識を深めるためにマネーセミナーに参加して下さい。