最近では「預貯金から投資へ」というスローガンも一般的になり、多くの人が資産運用に関心を抱くようになりました。背景には、少子高齢化社会に伴う老後の年金や将来の資金への不安があるからです。
しかし、そもそも資産運用とは何から始めれば良いのか分からず、漠然とした不安を抱えている人は多いです。日本人の多くはお金の教育を受けていませんし、「資産運用」と聞いてもピンと来ない人が多いのです。
この記事を読めば、資産運用の第一歩が踏み出せるようになります。初心者が一体何から始めれば良いのかを見ていきましょう。
この記事の目次
資産運用とは?
お金には、さまざまな目的と用途があります。生活費のように今すぐ使うお金、子供の学費や老後の資金など取っておきたいお金、それらに含まれず好きなように使えるお金など。
一般的に、資産運用に使うのは最後の「好きなように使えるお金」です(これを余剰資金といいます)。その理由を、順を追って解説していきましょう。まずは資産運用に欠かせない金融商品について解説し、投資とリスクについて解説します。
金融商品とは?
金融商品とは、「銀行や証券会社、保険会社で扱っている商品」のことを言います。
例えば、銀行や郵便局にお金を預けておく「預金」や「貯金」も、立派な金融商品の一つです。保険会社が扱う「保険」もその一つ。
もちろん、証券会社で売買できる「株式」や「投資信託」も金融商品です。これらの「資産を増やすための商品」について、「投資」という枠組みで紹介していきましょう。
投資とは?
投資を簡単に言うと、余っているお金を他人に貸し出し、後で貸し出した金額に上乗せして返して貰うことです。例えば、新たに事業を始める友人にお金を貸す場合、「この人ならお金を増やして返してくれるだろう」と考えて貸し出すので、「投資」となります。
一般的には、株式や債券といった金融商品を購入し、事業の成長と共にリターンを貰うのが投資の仕組みです。逆に言えば、相手が事業に失敗する可能性というリスクを同時に背負うことになります。
資産運用にはリスクがある
「ハイリスク・ハイリターン」という言葉を聞いたことがありますか?これは文字どおり、「大きなリターンを得るためには、大きなリスクを取らなければならない」という意味です。
そのため、投資をするなら預貯金とは異なり、一定のリスクを覚悟しなければなりません。投資に失敗すると、元本を下回ってしまう可能性があるのです。元本が保証されるのが預貯金ですが、変動するのが投資、と覚えておきましょう。
元本の変動は避けられないので、投資に回すのは「好きように使えるお金」にしましょう。「今すぐ使うお金」や「取っておきたいお金」を投資に使い、元本割れしてしまっては、生活が苦しくなってしまいます。
一方で、「ローリスク・ローリターン」という言葉もあります。リスクを小さくする投資法もあるのです。損失を減らして利益を得る投資をするには、「投資対象」の選び方が大事。金融商品について、次の項目で解説していきます。
さまざまな投資対象の紹介
ここまでの項目で、資産運用について解説してきました。投資をはじめてお金を増やしてみたい、と思った方も多いでしょう。
投資に興味が湧いたら、次は投資対象を選んでいきましょう。ここでは、主な投資対象である「株式」「債券」「投資信託」について紹介します。項目の最後には、それぞれの投資対象を組み合わせたおすすめの投資法も掲載しました。
株式
「投資」と聞いて最初にイメージするのが株式ではないでしょうか?投資初心者の方でも、株式から始める方は多くいます。
株式を購入することは、株式会社に対して出資を行うことです。証券会社を通じて買うのであまり意識されませんが、企業のオーナーの一員になれるのです。
株式投資の最大の魅力は、株価が上がって値上がり益を貰えること。預貯金の金利が1%を下回る中、株式の利回りは平均で年率5%程度と、大きな収益を期待できるのです。
一方で、株価が値下がりして元本を下回ってしまうこともあります。また、企業が倒産するといったリスクもあるため、株式は「ハイリスク・ハイリターン」の投資商品の代表格となっています。
債券
「公共債」と呼ばれる「国債」や「地方債」が、債券の中で最も一般的に取引されています。これらは、国や地方自治体が資金調達のために発行する債券です。株式の国や地方自治体バージョンと考えましょう。
国や地方自治体は企業よりも破綻しにくいと考えられることや、利益を追求しない安定した活動を行なっていることなどから、ローリスクと考えられています。そのためローリターンではありますが、リスクを抑えたい投資家によく購入されています。
投資信託
投資信託とは、運用のプロに資産を預け、代わりに資産運用をしてもらう商品のことです。投資の専門家であるファンドマネージャーが決めた運用方針に従い、株式や債券などで運用を行なって貰います。
投資信託の価格は「基準価額」で表されます。いくらプロに任せたからといって、基準価額には値動きがありますし、必ずプラスの結果を残せるとは限らないのが、運用の難しさ。それでも、投資初心者が独学で投資をするよりも投資信託には頼りがいがあります。
特に、株式や債券で投資をしていると国内の投資先に偏りがちになってしまいます。投資信託の場合、海外に投資している商品もあるため、海外にも投資先を広げることができるのです。
また、投資信託は「つみたてNISA」で自動積立することもできます。毎月の貯金の代わりに、一定の金額を自動で積み立てるつみたてNISAを始めてみてはいかがでしょうか?
初心者におすすめの低リスク投資法
投資初心者の方は、少ない資金を1つの株式に集中投資してしまうといった、リスクの高い投資から始めてしまいがちです。投資信託を活用したり、分散投資を心がけたりして、リスクを低く抑えることをおすすめします。
おすすめ投資法①投資信託を活用しよう
初心者が独学で投資を行い、成功するのはとても大変な道です。投資に関する情報収集や勉強をきちんとできる人にとっては面白い世界ですが、そのような人ばかりではないですよね。
プロに資産運用をお任せする投資信託なら、運用会社が作成するレポートを読むだけで、情報収集は完了です。少し手数料はかかりますが、独学で投資を勉強する間に失敗するよりも、結果的には投資信託の方が安定した利益になるかもしれません。
おすすめ投資法②分散投資を心がけよう
投資初心者の場合、投資先が偏ってしまいリスクが高くなってしまうことがあります。1つの投資先に大きなお金を投資する集中投資にならないよう、気をつけましょう。
おすすめは分散投資で、国や業界をできるだけ複数に分けるのが良いでしょう。株式や債券、投資信託を分散して持っていれば、そのうちのどれか1つに倒産や破綻といったことが起きても、全体としては大きなダメージにならないと考えられます。
投資の知識をつけてお金の運用を始めよう
資産運用の意味から投資商品の紹介まで、投資の基本のキについて解説してきました。投資にはリスクがあることや、余剰資金(「好きなように使えるお金」)を投資に使うことなどは、初心者から上級者まで全ての投資家にとって重要な知識です。
リスクを抑える投資をしたいなら、株式だけに資産を集中させず、債券にもバランスよく投資をしましょう。また、日本だけでなく国内外に投資できる投資信託も、リスクを下げるためにおすすめです。
投資にはリスクがつきまといますが、いたずらに恐れるべきものではありません。資産運用の知識を身につけ、投資を利用して上手に資産を増やしていきましょう。