自社株買いは利益を出せるチャンス!株価が上昇する仕組とは

株式に関するニュースで頻繁に登場する「自社株買い」ですが、いまいち何のことだか分からないまま流している方も多いのではないでしょうか。

自社株買いが発表されると株価が大きく動くことが多いので、投資家にとっては重要なイベントです。大きな利益を出せるチャンスでもあるので、自社株買いの意味はぜひおさえておきたいところ。

この記事では、自社株買いの意味と、自社株買いによってなぜ株価が上昇するのかを解説していきます。資産運用を始めたばかりの人やこれから始めようと思っている人には、ぜひ知っておいて欲しいことです。株価上昇に乗って利益を出せるようになりましょう

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自社株買いとは

自社株買いとは、企業が発行した株式を、自社の資金を使って買い戻すことです。

もともと株式は、企業が資金を調達するため、市場で取引できるようにして投資家に買ってもらう証券です。一旦市場で購入してもらった株式を、買い戻すのが自社株買いとなります。

なぜわざわざ株式の買い戻しを行うのか、その理由は以下の2つが挙げられます。

株主還元

企業が株主に利益を還元する方法は、配当金と自社株買いの2つがあります。配当金は利益の一部を分配することなので、株主に還元されていることが分かりやすいでしょう。自社株買いも株主還元になるので、理由を解説していきます。

自社株買いには、主に以下の3つの株主還元効果があります。

買取代金を株主に支払う

1つめの「買取代金を株主に支払う」ことは、既存の株主から自社の株式を買い取るため、現金を支払うことで株主に還元することができます

消却によって1株あたりの価値を高める

2つめの「消却によって1株あたりの価値を高める」についても解説していきましょう。「消却」とは株式を消し去ることです。自社株買いで消却を行う場合、買い取った自社株を消し去ることになります。

よって企業の株式の数が少なくなり、希少価値が高まります。株数が少なくなることにより、株価の上昇が期待でき、株主への還元につながります

自社株買いによって1株あたりの価値が高まる例 ※買う前と後、純利益は同じものとする
自社株買い【前】 50株自社株買い【後】
当期純利益 100万円 100万円
株式数 100株 100−50=50株
1株あたりの利益 100万円÷100株=1万円 100万円÷50株=2万円

割安株であるメッセージを発信する

3つめの「割安株であるメッセージを発信する」は、企業が自らの株式を購入することで、「うちの企業はポテンシャルが高いので、もっと高く取引されるべき」という意図を市場にアピールすることができます

その企業の株式が割安だと分かれば購入する人が増えるので、株価上昇につながり、株主還元することができます。

以上のように、自社株買いは企業が株主に利益を還元する一つの方法です。自社株買いによって株価が上昇するため、株主に歓迎される場合がほとんどです。

割安感を得る投資家

ストックオプション

自社株買いをした後、消却せずに「金庫株」として保管しておくケースもあります。金庫株は主に役員や従業員用の「ストックオプション」に使われます。

ストックオプションとは、企業があらかじめ決めておいた価格で、企業の役員や従業員が自社株を購入できる権利を付与することです

ストックオプションのメリットは、株価が上がると役員や従業員も得ができることです。そのため、株価を上げることが役員や従業員が一生懸命働くインセンティブになります。彼らが頑張って株価を上げてくれれば、株主にとっても嬉しい結果になります。

ストックオプションで役員や従業員が得をできるメカニズムについても解説しておきましょう。

例えば、社員が「自社株を1株あたり1000円で買える」というストックオプションを付与されたとします。その後、株価が上昇して2000円になったと仮定します。このときにストックオプションを行使すれば、本来は2000円で買わなければならない株式を、1000円で手に入れることができます。

自社の株価が上がれば上がるほど、基本的にはストックオプションで得ができる仕組みになっています。そのため、役員や従業員には株価を上げる最終目標のため、企業の業績が上がるように努力するインセンティブが生まれるのです。

以上が、企業が自社株買いを行う理由です。自社株を消却するときは株主還元金庫株にするときはストックオプションで社員への還元、と捉えておくと良いです。いずれも株価上昇が最終目標となるので、自社株買いは株主に歓迎されます

自社株買いで株価が上がるメカニズム


参考:Yahoo!ファイナンス『6758電気機器 ソニー(株)株価時系列

それでは前途した株価が上昇する理由について解説していきます。これは、企業の価値が高まることが期待され、大勢の投資家が買いに殺到するためです。

では、なぜ投資家は自社株買いで企業価値が向上すると考えるのでしょうか?その理由は、PER、PBR、ROEという3つの指標が改善されるからです。これらの指標の内容が良くなると、株価が上がりやすくなるのです

自社株買いによってなぜ3つの指標が改善されるのか、詳しく解説していきましょう。

PER

PERの計算式:PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
※1株あたり利益=当期純利益÷発行済株式総数

PERは「株価収益率」のことで、株価と1株あたりの純利益の比率を表しています。PERが低いほど割安な株式と判断され、買われやすくなります

自社株買いを行って株式が消却されると、株式の数が減るので1株当たりの純利益は大きくなります。PERの分母が大きくなるので、PERは下がります。

上述したとおりPERが低いほど割安な株式と判断され、買われるようになるので、株価上昇に貢献します。これが自社株買いによる株価上昇の1つめのメカニズムです。

PBR

PBRの計算式:PBR=株価÷1株あたり純資産(BPS)
※1株あたり純資産=純資産÷発行済株式総数

PBRは「株価純資産倍率」のことで、株価と1株あたりの純資産の比率を表しています。

PBRが1だと株価と1株あたりの純資産が等しい、という意味になります。PBRが1を下回っていると、企業の純資産に対して株価が低く評価されていることになり、株式が割安であることを示します

自社株買いを行って株式が消却されると、株式の数が減るので1株当たりの純資産は大きくなります。PBRの分母が大きくなるので、PBRは下がります。

上述したとおりPBRが低いほど割安な株式と判断され、買われるようになるので、株価上昇に貢献します。これが自社株買いによる株価上昇の2つめのメカニズムです。

ROE

ROEの計算式:ROE =1株あたり利益(EPS)÷1株あたり純資産(BPS)×100
ROEは「自己資本利益率」のことで、企業の収益性を表す指標です。企業の当期純利益と会社が自由に使える自己資本の比率で計算されます。

ROEが高いほど、自己資本に対して利益が大きいことを示します。つまり、ROEが高いほど収益性が高い企業である、と言うことができます

自社株買いを行って株式が消却されると、自己資本(=株主資本)が減ります。ROEの分母が大きくなるので、ROEは上がります。

上述したとおりROEが高いほど収益性が高い企業と判断され、株式が買われるようになるので、株価上昇に貢献します。これが自社株買いによる株価上昇の3つめのメカニズムです。

以上のとおり、自社株買いと消却はPER、PBR、ROEの改善に役立ちます。

実際には、自社株買いが報道された時点で株主が買いに殺到して株価が上がるため、自社株買いを行う前に株価が上がってしまいます。そのため自社株買いによる効果は見えにくくなります。ですが、投資家が買いに殺到する背景には、株価上昇のメカニズムへの期待があることを理解しておきましょう

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自社株買いは株主にとってプラスになる

自社株買いと株価上昇のメカニズムについて解説してきました。自社株買いは株主にとってプラスになる場合がほとんどなので、自社株買いの報道が出た途端に株式が買われることが多いです。

保有している株式で自社株買いの報道が出たら、株価の値動きを注視しましょう。株価が上がったところで売却し、利益を確定させる手段も考えられます。

銀行に預金をしてもお金が増えない時代になりました。なかなか給料が上がらない、もしくはコロナの影響で給料が減ってしまった人も多いでしょう。今が本気で資産運用を学ぶタイミングです。

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