全天候型ポートフォリオ考案者がコロナショックを踏まえ奨めたい事

運用環境が良いときも悪いときも、投資で利益を出せるようになるのが、投資家にとって理想の状態です。

景気が良くて株価などが右肩上がりのときは、誰でも儲けやすいのですが、景気が悪くなると儲けにくくなってしまいます。最悪の場合、大損して投資を辞めざるを得ない「退場」の状態になってしまう可能性もあります。

しかし、レイ・ダリオが考案した「全天候型ポートフォリオ」を取り入れれば、景気の悪化に耐えて生き残れる可能性が高くなります。

この記事では全天候型ポートフォリオの内訳や、日本の個人投資家がどのように全天候型ポートフォリオを取り入れたら良いのかを解説していきます。

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全天候型ポートフォリオは分散投資

分散投資のイラスト
「全天候型ポートフォリオ」と難しそうな名前を使っていますが、簡単に言い換えれば「分散投資」です。さまざまな商品を組み合わせることで弱点を補い合い、安定したポートフォリオを作りましょう、という内容だと思っていただければ十分です。

とはいえ、目的が無い状態でとにかく何でもかんでも分散すれば良い、というものではありません。何のために分散投資をするのか、目的を考えないと、投資する商品を間違えてしまうからです。

そこで、考案者のレイ・ダリオは「全天候に備える」という目的を掲げ、全天候型ポートフォリオを考案しました。どんなポートフォリオなのか、コンセプトを詳しく学んでいきましょう。

全天候型ポートフォリオのコンセプト

全天候型ポートフォリオは、凄腕のファンドマネージャーであるレイ・ダリオが考案したポートフォリオです。レイ・ダリオはアメリカの有名ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者でもあります。

彼は投資している資産に影響する4つの要素を「4つの天候」とし、どんな天候でも乗り切れるポートフォリオを提唱しています。それが「全天候型ポートフォリオ」です。

レイ・ダリオが考える4つの天候とは、以下の4種類の経済の状態のことです。

・インフレ
・デフレ
・経済成長
・マイナス成長

インフレとデフレ、経済成長とマイナス成長は、それぞれ反対の関係にあります。どんな局面が訪れても良いように、反対の関係にある天候にも備えるポートフォリオを作るべきだ、という考え方なのです。

普通に投資をしていると、「経済成長しているときはプラスの利益が出るけど、マイナス成長のときは損失が出る」という状況になりがちです。これでは、全天候に備えることができておらず、マイナス成長下で退場するリスクが高まってしまいます。

このような状態を改善し、全天候に備えることで、生き残りやすい投資をしていきます。2020年は新型コロナウイルスの影響で株価が暴落する「コロナショック」がありましたが、これからも同様に数多くの金融危機を経験していくはずです。不確実な未来に備えるためにも、全天候型ポートフォリオの作り方を学びましょう。

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レイ・ダリオの全天候型ポートフォリオ

レイ・ダリオは、以下のバランスで投資をすると、全天候に備えられるポートフォリオになる、と説いています。

・長期国債:40%
・株式:30%
・中期国債:15%
・金:7.5%
・コモディティ:7.5%

このポートフォリオを見ると、長期と中期あわせて55%が国債であり、ローリスク・ローリターンな国債の比率が高いことが分かります。ハイリスク・ハイリターンの代表格である株式は、30%と少なめです。

以上のポートフォリオが、どうして4つの天候に対応できるのかを解説していきましょう。

インフレへの対策

とコモディティ(原油など)は、インフレになると価格が上がりやすい資産です。現金の価値はインフレ期には下がってしまうので、金とコモディティを組み込むことで、インフレに対応できるポートフォリオになっています。

インフレは物価上昇のことなので、お金の価値よりも物の価値の方が高く上がってしまいます。このような状況では、お金の価値に連動する金融資産より、金や原油など本質が「モノ」である資産の方が価格が上がりやすいのです。

デフレへの対策

デフレのときはインフレと反対で、物の価格が下がります。デフレ時は債券のパフォーマンスが良くなることが知られているため、全天候型ポートフォリオでは国債でデフレ対策をしています。

デフレ期には金利が下がっていきますが、反対に債券の価格は上がります。これを利用して、デフレ期に備えるために国債を組み込んでいるのです。

経済成長への対策

経済成長の恩恵を受けるには、株式を保有するのが一般的です。経済成長期には企業も大きな利益を生むことができるため、配当金や株価の値上がりによる利益を狙うと良いからです。

よって、経済成長期に利益を出すため、全天候型ポートフォリオでは株式を組み込んでいます。

ただし、レイ・ダリオ考案のポートフォリオでは、株式の比率は30%と少なめです。株式は価格の変動が激しいので、大きな割合で取り入れてしまうと、ポートフォリオ全体の価格が日々大きく変動する、というデメリットがあるためです。値動きをマイルドにするため、値動きの大きい株式を少なく、値動きの小さい国債を多く組み込んでいます。

マイナス成長への対策

マイナス成長にも、金やコモディティで対策が取られています。

マイナス成長とは不景気のことだと思っていただければ良く、景気が悪くなると消費が落ち込み、企業は利益を出しにくくなります。そのため、株式は価格が下がりやすいです。

一方、金やコモディティは実体がある「モノ」で、しかも地球上に存在する量が限られているため、株価に比べて価格が下がりにくいです。むしろマイナス成長時は株式のようなリスク性資産が売られ、金やコモディティが買われるので、値上がりしやすいです。

以上のとおり、国債、株式、金、コモディティに分散投資することで、全天候に備えることができます。全天候型ポートフォリオは分散投資の一例ですが、目的を決めて分散投資していることが分かります。

コロナショックを踏まえた補足

さらにレイ・ダリオは、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と経済への影響を踏まえ、補足する発言をしています。それは、「ドルだけに資産を集中させるのではなく、欧州や中国も加えるべき」という個人投資家へのアドバイスです。

アメリカ人に向けた発言なのでドルが基準となっていますが、日本人向けに変換するなら「日本円だけでなく、ドルやユーロ、中国の元でも資産を持っておくと良い」といったところでしょう。

すなわち、「日本の株式や国債だけでなく、海外の株式や国債も取り入れた方が良い」と解釈できます。投資をするときは商品を分散させることに加え、投資先の国も分散できればベストです。先進国の債券や米国株式であれば、国内の証券会社でも取り扱いが増えてきているので、投資しやすくなってきています。

まずは国債、株式、金に分散投資せよ

レイ・ダリオが考案した全天候型ポートフォリオについて解説してきました。

基本的なアイディアは、「分散投資をすることで、どんな局面でも大損しにくいポートフォリオを作りましょう」という投資方法です。

相場の特徴を4つに分け、どの天候にも備えることを目標に、分散投資を理論化したのがレイ・ダリオの功績と言えるでしょう。

日本でも、全天候型ポートフォリオで運用することはできます。原油への投資は馴染みがなく難しいかもしれないので、まずは国債、株式、金に分散させて投資をしてみましょう

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