最近のコロナ禍で金投資が注目を集めていることをご存知の方も多いことでしょう。実際に金価格は、新型コロナウイルスの感染が拡大する前に比べ大きく上昇しています。
しかし上手く金価格が安い時に買えればいいですが、いつもそのような的確なタイミングで購入できるとは限りません。
特に金は他の資産に比べて特殊な動きをするため、特徴をよく理解しておく必要があります。
そこで今回は金投資が本当に儲かるのかや、メリット・デメリットまで徹底的に解説していきたいと思います。
この記事の目次
金投資は儲かるのか? 2つのメリット
金投資が儲かるかどうかを理解する前に、まずは金投資の2つのメリットを知っておく必要があるります。
金投資のメリット
①リスクヘッジができる
②金の価値がゼロになることがない
これらについて以下で詳しく説明していきます。
メリット①リスクヘッジができる
金投資は様々な投資対象の中でも、リスクヘッジのためにポートフォリオに組み入れられることが多いです。これは金が他の投資対象に比べ、少し特徴的な値動きをするためです。
まず金の価格は米ドルと逆相関の関係にあるといわれます。つまり米ドルの価値が上昇すると、金の価格が下がります。逆もしかりで、米ドルの価値が下がれば金の価格が上がります。
では米ドルの価値が上昇する時とはどんな時なのでしょうか?
一般的にある国の通貨の価値が上昇している時は、その国の経済が好調で世界中からその国の通貨の需要が増している時です。つまり米ドルの価値が上昇しているということは、アメリカの経済が好調といえます。
そして米ドルは「基軸通貨」といわれ、世界の決済通貨という位置づけです。そのため「世界で最も信頼される2つの資産」として、米ドルと金が挙げられます。金価格と米ドルはどちらかの価格が上がれば、どちらかの価格が下がるという構図があるのです。
特にアメリカは世界一の経済大国であり、他の国に与える影響が大きいです。つまりアメリカをはじめとする世界で経済が落ち込んでいる時は、金の価格が上昇するため、リスクヘッジとして活用できるといえます。
さらに金は「有事の金」といわれるため、世界のどこかで戦争や紛争などが起きると価格が上昇する傾向があります。このような観点からも金はリスクヘッジとして活用でき、逆にアメリカの経済が落ち込んだり、世界のどこかで有事が起きれば金価格が上昇して儲けることができるのです。
メリット②価値がゼロになることはない
金は不動産などと同じ「実物資産」といわれ、たとえ世界中が不況になっても価値がゼロになることはありません。逆に現金や株式などの「金融資産」は最悪の場合、価値がゼロになる可能性があります。
実物資産とは、その物自体に価値がある資産のことを指します。ここで「現金もその物自体に価値があるのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし現金は極端な言い方をすれば、ただの紙切れなのです。たとえば1万円札を見てみると、「日本銀行券」と書かれていることが確認できると思います。これは日本の中央銀行である日本銀行が「このお札には1万円の価値がありますよ」と保証してくれているということです。
つまりもし日本銀行が、「明日から1万円札の価値をゼロにします」といえば、ただの紙切れになってしまうのです。逆に金は誰かに価値を保証してくれているわけではないため、一定の需要がある限り価値を保つことができます。
また金は産業用や宝飾用で一定の需要があります。そして産出量も限られていることから、金に代わる資源が見つかるまでは需要が常にあるといえるでしょう。もし金に対する需要が一気に高まるような事象が起きれば、金投資で儲けることもできるかもしれません。
では続いて金投資のデメリットについて見ていきましょう。
金投資はここに注意! 2つのデメリット
金投資にはメリットがある一方、デメリットも存在します。金投資のデメリットは以下の2つです。
金投資のデメリット
①保管コストがかかる
②利子や配当を生み出さない
では以下で詳しく見ていきましょう。
デメリット①保管コストがかかる
金を保有するためには、一定の保管コストがかかります。そして金を購入すると「消費寄託(しょうひきたく)」と「混蔵寄託(こんぞうきたく)」という2つの保管方法により手数料やリスクが異なることに注意しましょう。
まず「消費寄託」から説明していきます。消費寄託は購入した金の所有権が運営会社に移転し、その金を運営会社が運用または管理する方法です。運営会社は責任をもって預かった金を保管しますが、金の運用が可能であるため保険料が無料となる場合が多いです。
ただし金の所有権が運営会社に移転することから、万が一運営会社が破綻するなどした場合、購入した金が戻ってこない可能性があります。
一方、「混蔵寄託」は、金の所有権は契約者のままで、運営会社は契約者から返還の請求をされるまで責任をもって保管します。消費寄託と異なり、運営会社が破綻した場合でも所有権は契約者自身であることから、預けた金が戻ってこない、ということは避けられます。
しかし混蔵寄託の場合は、運営会社の専用の金庫で保管することから、契約者は一定の保管手数料を負担しなければなりません。多くの場合、金の量によって保管手数料が設定され、金の量が多いほど保険手数料が上がっていく仕組みとなっています。
デメリット②利子や配当を生み出さない
金を持っているだけでは利子や配当を生み出しません。不動産も金と同じ実物資産ですが、誰かに貸し出すことができるため、貸し出した期間に応じて家賃収入を得ることができます。金を誰かに貸し出す、ということは基本的にはないため、金を保有することで利子や配当を受け取ることができないのです。
預金金利や国債の利回りは超低金利といわれながれも、一定の利息を受け取ることができます。その点、金をはじめとした銀、銅などの商品への投資は利子や配当を生み出してくれないことはデメリットとして挙げられるでしょう。
ここまで金投資のメリット・デメリットについてお伝えしてきましたが、一体どこで金投資を始めることができるのでしょうか? 以下で金投資を始める3つの方法をお伝えしていきます。
金投資はどこで始められる?
金投資は貴金属店や宝飾品店、地金商などで始めることができます。実はこれらの場所以外でも銀行や証券会社でも手軽に金投資を始めることができるのです。
金投資のオススメの始め方
①純金積み立て
②金を投資対象としたETF
③金を投資対象とした投資信託
貴金属店や宝飾品店などではなく、銀行や証券会社で金投資を始める場合、上記のような商品で金投資を始めることになります。
純金積み立て
まず①純金積み立てから説明していきます。純金積み立てとは、銀行や証券会社で申し込め、毎月一定の金額を積み立てて、その時の価格で純金を購入していく運用方法です。たとえば毎月1万円ずつ、5,000円ずつなど自分で積み立てる金額を設定でき、比較的少額からでも始めることができます。
純金積み立てのメリットは、毎月一定金額を積み立てる「ドルコスト平均法」の恩恵を受けられるため、一度に大量の金を購入する場合に比べ、平均買付価格を抑えることが可能です。金の価格を気にせずに買うことができ、金投資初心者でも始めやすい運用方法といえるでしょう。また一定量を保有すれば、現物の金として受け取ることもできます。
金を投資対象としたETF
続いて②金を投資対象としてETFですが、証券口座を開設していれば基本的に誰でも取引可能です。金を投資対象としてETFはいくつかあり、どれも金価格に連動した動きをします。
金を投資対象としたETFのメリットは、流動性が高く、好きな時に売買できる点が挙げられます。また一定数を保有すると、実物の金と交換できるETFと交換することもできるため、純金積み立てと同じように運用することができるでしょう。
金を投資対象とした投資信託
最後に③金を投資対象とした投資信託ですが、先ほどのETFと同じで銀行や証券会社で購入することができます。金を投資対象とした投資信託のメリットは、一定金額で毎月購入することができる点が挙げられます。そのため純金積み立てのようにドルコスト平均法の恩恵を受けることができるでしょう。
ただ金を投資対象とした投資信託は、保有数を増やしても実物の金と交換してくれることがないため、金を保有する喜びを感じにくいかもしれません。
では最後に金投資を始めるのなら、必ず知っておきたいポイントについて解説していきます。
金投資で儲かるためには「アメリカの実質金利」に注目!
金投資で儲けるために、常に「アメリカの実質金利」に注目しておくといいでしょう。なぜならばアメリカの実質金利が下がれば、金価格が上昇する傾向があるためです。
ただし注意すべき点は、単純に金利の低下が金価格の上昇に寄与するのではなく、実質金利が影響しているということです。金利には実質金利と名目金利がありますが、実質金利は名前のとおり、実質的な金利を指します。
「定期預金金利が1%」とあっても、これは見かけの数値であるため名目金利となります。これにインフレ率を考慮したものが実質金利です。
たとえばあなたが今200万円の車を買おうと考えています。この時定期預金金利が3%で、インフレ率は0%だったとします。この場合、今200万円で車を買わず定期預金をすれば、利息として6万円を受け取ることができるでしょう。(200万円×3%)
しかし仮にインフレ率が3%であった場合は事情が変わります。インフレ率とは物価上昇率であるため、上記の200万円の車も1年後には206万円になっているのです。そこでこのようなインフレ率を考慮した金利を「実質金利」といいます。つまりこのように定期預金霧が3%、インフレ率も3%の場合、実質金利は0%となるのです。
実質金利の計算式は以下のようになります。
実質金利=名目金利-インフレ率
話を金投資に戻します。最近の新型コロナウイルスにより、金価格が上がった要因は、実質金利の低下による影響が大きいです。確かに先述のとおり、有事の金として買われたことも事実ですが、どちらかというと実質金利の低下が寄与した可能性が高いです。
たとえば2008年にリーマンショックが発生し、世界中を不況が襲いました。このような有事の際には金が買われると思いきや、実際には金価格は大きく下げました。実はこの背景には実質金利の上昇があったのです。
金投資は有事の金、というイメージも強いですが、実はアメリカの実質金利による影響が大きいことを覚えておきましょう。
金の特徴をよく理解してまずは少額から始めてみよう
金投資で儲けるためには、まず金の特徴をよく理解しておく必要があることがわかりましたね。
特に金投資のメリット・デメリットを理解し、どのような相場でどのように金価格が動くのかはしっかり理解しておきたいところです。
金投資は純金積み立てやETF、投資信託などの少額から始められる方法から始めてみるのもいいでしょう。