iDeCoは、節税と年金の準備が同時にできる仕組みです。
「投資をするなら、まずiDeCoで!」と勧められることも多いです。
そこで気になるのが、iDeCoの加入資格でしょう。
公式ホームページの『iDeCoナビ』には「日本在住の20歳以上60歳未満の方であれば、原則誰でも始めることが可能です」と書かれているのですが、実は加入資格は複雑です。
現状は、「誰でも始められる」とは言いきれません。
この記事では、iDeCoの加入資格について分かりやすく、かつ詳しく解説していきます。これを読めば、自分はiDeCoに加入できるのか、加入したらいくらの掛金を拠出できるのかが、分かるようになります。
ご自身の職業は以下の4つのうち、どれに当てはまるでしょうか?
職業によって加入資格が異なるので、自分に当てはまる項目をさっそく見ていきましょう。
- 自営業・個人事業主・無職
- 会社員
- 公務員
- 専業主婦・主夫
この記事の目次
自営業・個人事業主・無職のiDeCo加入資格
自営業・個人事業主・無職の方のiDeCo加入資格は、以下のとおりです。
✅ 満20歳以上60歳未満
✅ 国民年金保険料を納付している
iDeCoはもともと、会社員と違って企業型拠出年金が無い人のために作られた制度です。そのため、自営業・個人事業主・無職の方の加入資格は厳しくなく、多くの方は加入できます。
注意点:国民年金の保険料の納付
要注意なのは、国民年金の保険料を納付しているかどうかです。フリーランスや無職の方で、「今はお金が無いから、年金や保険は無視している」という方がいらっしゃるのですが、それではiDeCoに加入することができません。
順番としては、国民年金の保険料を納めてから、iDeCoを始めましょう。国民年金の保険料も控除の対象になりますし、現行どおりの年金がもらえるならiDeCoより国民年金の方が利回りが高いです。
国民年金の方がお得な制度なので、まずは国民年金保険料を納付しましょう。
参考:日本年金機構『ねんきんネット』
自営業・個人事業主・無職の掛金の上限
iDeCoの加入資格をクリアした自営業・個人事業主・無職の方は、最大で年間81万6000円の掛金を拠出することができます。この金額をまるまる所得控除できるので、節税のためにも活用していきましょう。
会社員のiDeCo加入資格
会社員の方は、iDeCo加入資格がやや複雑です。
✅ 60歳未満
✅ マッチング拠出の企業型確定拠出年金を実施していない企業に勤めている
✅ 企業型確定拠出年金で個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入が認められている
会社員の方は、iDeCoよりも企業型確定拠出年金を優先しましょう。その上で、企業型確定拠出年金の制度によっては、iDeCoにも加入することが可能、と覚えておくのが良いでしょう。
マッチング拠出とは?
参考:ろうきん労働金庫連合会『マッチング拠出について』
会社員がiDeCoに加入するには、「企業型確定拠出年金がマッチング拠出の仕組みでないこと」が大前提です。「マッチング拠出」の意味について確認していきましょう。
通常、企業型確定拠出年金の掛金は、企業が支払います。マッチング拠出の仕組みがある場合、企業の掛金に加えて、加入者(従業員)も給与から上乗せし、自分の年金の準備をすることができます。
従業員がマッチング拠出を利用してもしなくても、企業は掛金を支払います。上乗せ分が従業員にとってiDeCoのような役割になるので、マッチング拠出が採用されている場合、iDeCoへの加入資格はありません。
20歳未満でもiDeCoへの加入ができる
会社員の場合、20歳未満でもiDeCoへの加入ができます。未成年で就職した方も年金の準備ができるので、ぜひ活用していきましょう。
会社員の場合、年齢制限は「60歳未満」のみとなります。
会社員の掛金の上限
企業型確定拠出年金に加入しているか否かで、会社員はiDeCoの掛金の上限が異なります。さらに、企業年金等(確定給付企業年金、厚生年金基金のこと)に加入しているかでも分かれます。
【企業型確定拠出年金に加入している方】
✅ 企業年金等に加入している:年間14万4000円
✅ 企業年金等に加入していない:年間24万円
【企業型確定拠出年金に加入していない方】
✅ 企業年金等に加入している:年間14万4000円
✅ 企業年金等に加入していない:年間27万6000円
公務員のiDeCo加入資格
公務員の方は、60歳未満であれば誰でもiDeCoに加入することができます。未成年でも加入できるので、若いうちからiDeCoを使って少しずつ老後の準備をしていきましょう。
公務員の掛金の上限
公務員のiDeCoの掛金の上限は、年間14万4000円です。会社員と似ており、公務員も年金制度が充実しているので、iDeCoで投資できる金額は少なめです。
専業主婦・主夫
専業主婦・主夫など会社員や公務員の配偶者の方は、20歳以上60歳未満なら誰でもiDeCoに加入できます。配偶者の給与からもらったお小遣いの一部をiDeCoに拠出するなどして、コツコツと年金の準備をしてはいかがでしょうか。
専業主婦・主夫の掛金の上限
専業主婦・主夫は、年間27万6千円がiDeCoの掛金の上限となります。基本的には、会社員や公務員の扶養家族となる方が当てはまるので、iDeCoで投資できる金額は少なめの設定です。
iDeCoの加入資格が無い人
ここまでは、iDeCoの加入資格について解説してきました。しかし、細分化されすぎているため、分かりにくかったかもしれません。
そこで、iDeCoの加入資格が無い人をズバリお答えします。以下の2つのどちらかに当てはまる方は、iDeCoに加入することができないので、諦めて他の投資方法を考えましょう。
60歳以上
60歳以上の方は、職業に関係なくiDeCoに加入することができません。
これは、iDeCoが60歳からの年金を準備するための制度だからです。60歳以上の方が資産運用するためには設計されていないのです。
60歳以上の方には、NISAやつみたてNISAの利用がおすすめです。これらの制度は20歳以上なら使うことができ、年齢の上限がありません。
人生100年時代なので、60歳の方も自分のために今から資産運用を始めても遅くはありません。また、子供や孫に相続する資産を少しでも増やしたい、といったニーズから運用を始める方もいらっしゃいます。
会社員でマッチング拠出がある場合
会社員の方は、自分の会社の企業型確定拠出年金で、「マッチング拠出」という制度が無いか調べましょう。マッチング拠出がある場合、iDeCoの加入資格はありません。
既に述べたように、マッチング拠出を使うと企業型確定拠出年金の掛金を、自分の給与から上乗せすることができます。企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金は、年金の仕組みとしては同じなので、「会社員はiDeCoではなく、自社のマッチング拠出を使いましょう」という意味なのです。
つまり、「マッチング拠出がある会社はiDeCoが使えなくて損」というわけではありません。iDeCoも企業型確定拠出年金も同等だからです。iDeCoは、マッチング拠出が無い会社や働き方の人のためのものだと考えましょう。
年金は自分でも積み立てる時代へ
iDeCoやるには特別なスキルや投資リテラシーは必要ないです、はっきり言って。「普通の人でも、安全に、それなりの結果をだせるように…」そういうことをちゃんと政府が考えて、キチンとした基本設計になっている。
これ、普段チョー辛口のじっちゃまが言うんだから、間違いない。
— じっちゃま (@hirosetakao) November 22, 2020
iDeCoの加入資格についてお伝えしてきました。自営業、会社員、公務員、専業主婦といった職業によって、加入資格が異なります。
特に複雑なのは会社員です。マッチング拠出があるか無いか確認し、無ければiDeCoを利用できるかもしれません。会社の年金の規定を確認することから始めましょう。
少しでも早く運用を始めれば、より”老後の安心”を準備することができます。人生100年時代。リタイア後の生活も視野に入れて、上手にお金を運用していく知恵をつけ、行動に移していきましょう。