FXの税金の仕組みから納税の方法まで徹底解説

FXのみならず、預貯金の利息や株式、投資信託の売却益など、どのような金融商品でも利益を出せば、税金の支払いをしなければなりません。もし自分が納税義務者となったにも関わらず、税金を納めないとペナルティが課せられることもあります。

そこでこの記事では、FXの初心者でもわかりやすいように、FXの税金の仕組みから納税の方法まで徹底解説していきます。納税面での不安を解消していきましょう。

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FXで得た利益はどれくらい税金がかかるのか

ぶたの貯金箱
FXで利益を得ると、所得税と住民税、これにプラスして2037年12月までは復興特別所得税が発生し、一律20.315%の税金が課せられます。内訳として、所得税が10%、住民税が5%、復興特別所得税が0.315%となっています。

ここで確認しておきたいことが所得税についてです。実は単に所得税といっても、所得税には所得の種類が以下のように10種類もあり、それぞれ税率が異なるのです。

所得の種類

  1. 利子所得
  2. 配当所得
  3. 不動産所得
  4. 事業所得
  5. 給与所得
  6. 退職所得
  7. 山林所得
  8. 譲渡所得
  9. 一時所得
  10. 雑所得

このうち、FXで得た利益は「雑所得」に該当します。ちなみにFXで得た利益以外にも、公的年金や会社員が副業で得た所得、仮想通貨(暗号資産)で得た所得も雑所得です。

またFXで得た利益は「申告分離課税」が適用されるため、給与所得などと合算されず、どれだけ利益を上げても一律20.315%の税率が適用されます。そのためある年に1円のFXの利益しかない場合も、100万円の利益があった場合も同じ20.315%が適用されるということです。

この「申告分離課税」について馴染みのない方は多いと思います。特に会社員の方の場合、貰う給与の額に応じて税率が決まる「累進課税」が適用され、給与が多いほど税率が高くなる仕組みです。このように同じ所得税であっても、税率の適用が異なる点をよく理解しておきましょう。

ここまでをまとめると以下のようになります。

FXの税金のまとめ

  1. FXで利益を得ると利益に対して一律20.315%の税率が課せられる
  2. FXで得た利益は「雑所得」となり「申告分離課税」で課税される

日本の税制は世界の中でも複雑といわれ、理解をすることに苦労をすることが多いです。しかしポイントさえ抑えれば難しくはありません。1つ1つ確実に理解をしていけば大丈夫です。

基本的に確定申告で納税

FX会社は基本的に源泉徴収(FX会社側が税金を差し引いてくれる制度)してくれないため、納税義務者となれば自分で納税を行う必要があります。つまりFXで利益を上げれば自分で税額を計算し、確定申告を行う必要があるということです。ちなみに株式投資や投資信託で利益を得ると口座の種類によりますが、証券会社が源泉徴収をしてくれるため、確定申告しなくてもいい場合もあります。

納税義務者とならない条件

ただしここで大切なことは、FXで1円でも利益を得れば誰でも納税義務者となるわけではないことです。ここでは会社員の方の場合と、専業トレーダーの場合に分けて、確定申告が必要な場合を見ていきましょう。

会社員の場合

  1. 給与の年間収入が2,000万円を超える場合
  2. 2か所以上から給与の支払いを受けている
  3. FXの利益が20万円を超える場合

専業トレーダーの場合

  1. FXの利益が38万円を超える場合
  2. ①の所得とアルバイトなどの給与所得の合計額が103万円を超える場合

上記をまとめると、会社員の場合は年間20万円以下、専業トレーダーの場合は年間38万円以下のFXの利益であれば、納税義務者とならないのです。

ただし、損失が出た場合は確定申告をした方が良いです。後述する『最長3年間の繰越控除』があるためです。翌年以降に利益が出た時に、損失と相殺することが可能になります。

納税義務者となった時の確定申告の方法

納税義務者となった場合は、自分で確定申告を行う必要があります。どのようにして確定申告を行うのか見てきましょう。
確定申告というと「難しい」や「面倒くさい」というネガティブな言葉が聞かれます。しかし実際には、それほど難しくなく意外とスムーズにできるものです。

まず確定申告を始める前に準備しておくものがあります。まず口座を開設しているFX会社から「期間損益報告書」や「年間取引明細書」などの、その年の取引の状況がわかる書類を用意しましょう。こちらについては、各FX会社の公式HP等からダウンロードすることができます。

では早速確定申告の準備に取り掛かります。

確定申告には大きく2通りの方法があり、確定申告書をダウンロードして必要事項を手記入し税務署に持ち込む場合と、国税庁のHPの「確定申告書作成コーナー」を利用する場合です。おすすめは後者の「確定申告書作成コーナー」を利用する方法です。

まずは以下の国税庁のHPに入ります。
入ると「確定申告書等の作成はこちら」という項目があります。そちらに入ると、「申告書等を作成する」という欄に「作成する」という項目があるため、こちらをクリックします。そして「印刷をして提出」をクリックし、利用規約に同意すると確定申告書の作成に移ります。
国税庁納税の画面
参考:国税庁公式ホームページ

あとは案内に従って必要事項を記入するだけです。またこの時に、会社員の方は会社から受けとった「源泉徴収票」が必要になりますので、もらったら無くさないようにしておきましょう。

確定申告書に必要事項を入力し終えたら、ダウンロードして印刷をしましょう。その後FX会社からもらった「期間損益報告書」や「年間取引明細書」などの書類や、会社員の方であれば源泉徴収票と一緒に所轄の税務署に郵送すれば完了です。

「必要経費」が認められ納税額が減ることも

FXで得た利益は、利益に対して課税されることをお伝えしましたが、実は場合によっては利益を減らして納税額を減らすことができるのです。ただしそのためには、「FXの利益を得るためにかかった必要経費」であることが条件です。たとえば以下のようなものが必要経費として活用できます。

FXの取引で活用できる必要経費

  1. 取引にかかった売買手数料
  2. 口座入出金時の手数料
  3. 情報収集のための書籍代
  4. 取引のために購入したパソコン代

上記のようなものは必要経費として活用できます。ただしこれらを購入した時に、領収書は必ず取っておくようにしましょう。必要経費を使う場合、確定申告書と一緒に領収書を同封する必要があるためです。

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他にもある納税額を減らす方法

確定申告と電卓
FXの取引では、必要経費を活用する以外にも納税額を減らす方法があります。ここでは2つの方法を紹介していきます。

損益通算

損益通算とは、ある所得とある損失を合算して計算することです。
例を出して説明します。たとえばFXである取引をした時に利益を300万円得ることができました。しかしその後の取引で損失が100万円出た場合、これらを合算して200万円の所得とすることができるのです。(300万円-100万円)図に表すと以下のようになります。

損益通算のイラスト

ここで注目したいことが、損益通算についてはFXの取引だけではないということです。上記の図のように、FXで300万円の利益を得て、株価指数先物取引で100万円の損失が出た場合も損益通算することが可能です。

さらに損益通算は同じ証券会社やFX会社の口座内でなければならないということもありません。もしAというFX会社でFXを、Bという証券会社で先物・オプション取引をしていても損益通算は可能です。

ただし損益通算をするためには、必ず確定申告が必要であることと、同じ雑所得でも「先物取引に係る雑所得等」でなければならないことに注意しましょう。つまり副業などで得た収益(雑所得)とFXの利益を合算できないということです。

最長3年間の繰越控除

繰越控除とはその年に控除しきれなかった損失を、一定の要件内であれば、翌年以降3年以内に限り繰り越すことができる制度です

X年 1年目 2年目 3年目
損益 ▲100万円 +20万円 +50万円 +100万円
繰越損益可能額 ▲100万円 ▲100万+20万
=▲80万円
▲80万+50万
=▲30万円
▲30万+100万
=70万円
課税対象額 0 0 70万円

まずX年にFXで100万円の損失を出しました。この年の利益は0円のため課税対象額はありません。そして翌年、FXで20万円の利益を出すことができました。しかしここで繰越控除を活用すれば、前年の100万円の損失から利益を控除して、課税対象額を0円とすることができるのです。

さらに2年目以降も、X年に発生した損失である80万円が繰越控除として活用でき、この年にFXで50万円の利益を得ても、そこから50万円を差し引き、課税対象額を0円にできます。このような流れで、損失の繰越控除が、損失が発生した翌年以降3年間続けることができます。

ただし繰越控除についても確定申告が必要であり、仮にある年(3年の間に)全く取引がない場合も確定申告が必要であることに注意しましょう。

このように上手く制度を活用できれば、FXで得た利益をしっかりと節税することができます。投資で利益を上げることはもちろん大切ですが、税金対策も同じくらい大切であることを覚えておきましょう。

正しい知識で節税と納税をしっかり行うこと

納税について調べる夫婦
FXで得た利益に対する税金について説明してきましたが、基本は利益に対して20.315%の税率が課せられると覚えておけば充分です。

さらに納税義務者となった場合は、必ず確定申告をすること忘れないようにしましょう。

どうしてもわからない場合は、口座を開設しているFX会社のコールセンターまたは所轄の税務署に相談してみましょう。

納税義務者にも関わらず納税をしないと、延滞税などのペナルティが課せられるため注意しておく必要があります。資産運用のための投資でペナルティを課せられたら元も子もありません節税できる制度を知らないことも損です。利益を得た場合の対応についてしっかり覚えておきましょう。

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