株主優待、実は良いことだけではありません。デメリットは?

株主優待狙いで投資をしている方も多いと思いますが、優待のデメリットにはお気づきでしょうか?

お得な株主優待ですが、実は良いことだけではありません。確定申告の手間が増えるなどの面倒もあり、優待狙いの投資方法にはデメリットもあるのです。

この記事では、優待狙いの投資のデメリットと対策を中心に解説していきます。まずは株主優待とは何かおさらいしていきましょう。

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株主優待とは?

株主優待の割引でお茶を楽しむ夫婦
株主優待とは、企業が自社の株主に割引券や商品を配る制度のことです。すべての企業が実施しているわけではないので、優待狙いで投資をする人は優待内容も確認してから投資しましょう。

「株主優待を導入していそうな業界」でも、必ず確認してください。例えば、アサヒビールは優待を導入していますが、サントリーには優待はありません。サントリーも自社の飲料などの優待を実施しているかと思いきや、していないのです。

このように、優待がありそうな銘柄でも実施していない事はよくあります。投資をする前に、自分が求める優待がもらえるかどうかを確認しておきましょう

優待と配当の違い

株式に投資をすると、「配当金」をもらうこともできます。配当金は現金で指定した口座に入金されるものです。優待は金券や商品などの実物ですが、配当金はお金という違いがあります。

配当金も、導入している企業としていない企業があります。また、配当利回りも会社によって異なります。例えば、配当利回り3%と5%の会社があったら、10万円投資してもらえる配当はそれぞれ3000円と5000円です。配当金狙いの投資なら、後者の方が良いと考えられます。

少し脱線しましたが、本筋は株主優待のデメリットです。金券や商品がもらえてお得な優待には、あまり知られていないデメリットがあるので、確認していきましょう。

優待狙いの投資のデメリット

良いことだらけに思える株主優待狙いの投資ですが、以下のようなデメリットがあります。知らずに優待狙いの投資をしている人もいるのですが、リスクを知らずに投資をするのは危険なので、しっかり理解してから投資を考えましょう。

✅ 優待が改悪・廃止されるリスクがある
✅ 実は確定申告が必要
✅ 再投資で複利効果が得られない

優待が改悪・廃止されるリスクがある

株主優待は、内容は企業が決めることができるので、突然改悪されたり廃止されたりするリスクがあります。欲しい優待がもらえると思って投資したのに、内容を変えられて欲しいものがもらえなかった、と言うことが起きる可能性があるのです。

しかも、優待内容が改悪されると大勢の投資家が失望するので、株式が一斉に売られます。すると、株価も暴落してしまいます。早い段階で得ることができなければ、暴落に巻き込まれて大損してしまうかもしれません

以上のように、株主優待は改悪・廃止されるリスクがあることを覚えておきましょう。欲しかった優待がもらえなくなったり、株価の暴落に巻き込まれたりする可能性があります。

実は確定申告が必要

優待狙いの投資家にもあまり知られていないのですが、株主優待をもらった場合も、実は確定申告が必要です。株主優待は金券や商品で送られてきますが、これも投資家の収入と考えられるからです

所得の項目は「雑所得」です。配当所得とは別の項目なので、気をつけましょう。

クオカードなどの金券の場合、その額面を雑所得として扱います。割引券は、使ったときに実際に割引になった金額が雑所得となります。

商品の場合は特に大変なのですが、その商品が実際の店舗ではいくらで売られているかが参考になります。売値を雑所得として扱うのが良いでしょう

優待を転売した場合は、売った価格が雑所得となります。金券ショップやフリマ・オークションサイトで換金したら、その価格の収入があったということになります。

なお、誰がどれぐらいの株主優待をもらって得したかを税務当局が把握するのはとても難しいので、現状では確定申告しなくても見逃されているケースがほとんどです。とはいえ、見逃されやすいから申告しなくて良いとは解釈できません。ルール的には確定申告が必要であることを理解しておきましょう

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再投資で複利効果が得られない

株主優待は配当と異なり、再投資することができません。金券や割引券、商品でもらうので、当たり前かと思います。

株式に投資することでもらえる配当の場合、貯めれば株式を買う資金になるので、再投資することができます。利益を再投資することで、複利効果が得られるので、資産は雪だるま式に増えていきます。

優待だと再投資できないので、複利効果を狙えないデメリットがあります。この点に関しては、優待は配当に劣ると言えるでしょう。

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優待のデメリットの対策方法

株主投資を吟味する男性
上述の通り、株主優待にもデメリットがあることを解説してきました。では、デメリットをできるだけ小さくして投資をするには、どうすれば良いのでしょうか。対策として考えられるのは、以下の2点です。

✅ 優待利回りが高すぎる銘柄を避ける
✅ 配当利回りで銘柄を選ぶ

優待利回りが高すぎる銘柄を避ける

株式を買うのに必要なお金に対し、もらえる優待の価値が高すぎる銘柄のことを、「優待利回りが高い」と言います。極端な例えですが、10万円で株式を買えるのに、9万円分の商品を優待としてもらえる、といったケースです。

このような優待利回りが高すぎる銘柄は、避けた方が無難です。今後、優待内容が改悪されていく可能性が高いからです。

なぜ改悪されやすいのかというと、企業にとって優待を配る負担が大きいからです。優待利回りの高い銘柄には優待狙いの投資家が殺到するので、企業は商品の用意や送付、その他事務に多大な労力を割きます。これらの負担が大きくなりすぎたら、企業は「優待を縮小しよう」と考えますよ。

したがって、優待利回りが高すぎる銘柄には注意した方が良いです。優待が縮小されても投資したいと思える銘柄であれば良いかもしれませんが、優待狙いの投資には不向きだと考えられます。

配当利回りで銘柄を選ぶ

優待利回りよりも、配当利回りで銘柄を選んだ方が良いです。もちろん、配当利回り以外にも業績などを調べてからでないと投資はできませんが、優待利回りよりも配当利回りの方が重要と考えられます

その理由は2つです。
1つめは、配当金は源泉徴収で税金を差し引いてもらえるので、わざわざ確定申告しなくても良いケースがほとんどだからです。
もう1つの理由は、再投資できない優待よりも再投資できる配当を気にした方が、将来の資産形成に大きな影響があるからです。

優待は単利、配当は複利での運用と言い換えられ、複利効果を得た方が資産を大きく成長させることができます

また、配当の縮小は優待の改悪よりもされにくい傾向があります。慣習的な捉え方ですが、配当は株主との約束であるのに対し、優待はサービスのような位置付けだからです。企業としては、優待の方が企業側の自由度が高い、と考えがちなのです。

よって、優待狙いよりも変更されにくい配当狙いの方がおすすめです。

ただし、コロナショックの時は逆転現象が起きました。海外渡航の制限や自粛要請によって、航空会社や百貨店など収益構造に大打撃を受けた企業が、配当を縮小したのです。

それでも株主に利用してもらうため、優待の割引券の発行は継続しました。このような特殊な状況では配当が先に削られることもあるので、「絶対得できる投資方法」は無いことを理解しておいてください

株主優待一択ではなく他の手法とも比較することが大事

株主投資セミナーの様子
株主優待のデメリットとその対策について解説してきました。

お得に感じられる優待ですが、再投資できないことや確定申告が本当は必要であることなど、意外と盲点になるデメリットがあることがわかっていただけたと思います。

デメリットを消すことはできませんが、優待利回りが高すぎる銘柄は避けたり、配当利回りも気にして投資をすることで、デメリットを小さくすることができます。

優待狙いのデメリットに初めて気づいた方は、自分の投資を見直してみましょう。選択肢を増やすためにも株式投資をもっと知ることから始めてみてください。

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