投資用語の「ブル」「ベア」を聞いたことはありますか?投資信託の名前によく使われている用語です。
この記事では、今さら聞けない「ブル」「ベア」の意味から、ブルベア型の投資信託のおすすめポイントと注意点を解説していきます。
どんな投資信託なのか学び、自分に使いこなせる商品なのか、冷静に考えていきましょう。
この記事の目次
ブル・ベアは相場の調子を表す用語
「ブル」は上昇相場(強気相場)を、ベアは下降相場(弱気相場)を表す用語です。
ブル・ベアの用語は、日本では投資信託の商品名でよく使われています。
ブル型の投資信託は上昇相場で利益が出て、ベア型の投資信託は下降相場で利益が出ます。
ブル・ベアの由来と覚え方
ブル・ベアのどちらが上昇・下降なのか、分からなくなりやすいと思います。どうして上昇がブルで下降がベアなのか、由来を知れば覚えやすくなるでしょう。
「ブル」は英語で「牛」のことで、牛は相手を攻撃するときに角で下から上に突き上げます。この動きが由来となり、「下から上に行く上昇相場」を表す用語になりました。
「ベア」は英語で「熊」のことで、熊は相手を攻撃するときに手を上から下に降り下ろします。この動きが由来となり、「上から下に行く下降相場」を表す用語になりました。
ブル・ベアのどっちがどっちか分からなくなったときは、牛と熊の動き方を思い出しましょう。
ブルベア型ファンド
参考:楽天証券『ブル・ベアファンド特集』
次は、ブル型・ベア型の投資信託について解説していきます。一般的な投資信託よりも大きな利益が狙えるので、投資するかどうか考えるためにも、どんな商品なのかを理解していきましょう。
その前に、ブルベア型を考えるときの基準となる、一般的なインデックスファンドについておさらいしていきましょう。
一般的なインデックスファンド
一般的なインデックスファンドは、日経平均株価などの指数に連動する値動きの投資信託のことです。
日経平均株価に連動するインデックスファンドなら、日経平均が5%上がったとき、インデックスファンドも5%上がります。日経平均が5%下がったら、インデックスファンドも5%下がります。
このように、指数と同じ方向に同じ割合で値動きするのが、インデックスファンドの特徴です。ブル型・ベア型は少々異なるので、違いに注目しながら理解していきましょう。
ブル型ファンド
ブル型ファンドは、指数と同じ方向に値動きしますが、値動きの幅が一般的なインデックスファンドよりも大きくなります。
日経平均株価に連動する、ブル2倍型ファンドを例に考えてみましょう。日経平均が5%上がったら、ブル2倍型ファンドは2倍の10%上がります。日経平均が5%下がったら、ブル2倍型ファンドは10%と2倍下落します。
以上のように、ブル型ファンドは指数と同じ方向に値動きしますが、値動きの幅が大きくなります。
例では2倍としましたが、さまざまな値動きの幅を設定する商品があります。
ベア型ファンド
ベア型ファンドは、指数と反対の方向に値動きし、しかも値動きの幅が一般的なインデックスファンドよりも大きくなります。(インデックスと同じ幅で、方向だけが異なる商品も作ることはできます)
日経平均株価を対象の指数とした、ベア2倍型ファンドを例に考えてみましょう。日経平均が5%上がったら、ベア2倍型ファンドは2倍の10%下がります。日経平均が5%下がったら、ベア2倍型ファンドは10%と2倍上昇します。
以上のように、ベア型ファンドは指数と異なる方向に値動きし、しかも値動きの幅が大きくなります。
例では2倍としましたが、さまざまな値動きの幅を設定する商品があります。
ブルベア型ファンドのおすすめポイント
ブルベア型の投資信託のおすすめポイントは、トレンド相場で大きな利益が狙えることです。
上昇相場で4.3倍のブル型ファンドを購入すれば、かなり大きな利益を見込むことができます。例えば、1日で指数が10%上昇すれば、ブル型ファンドの基準価格は43%も値上がりすることになります。
相場のトレンドを予測してブル型またはベア型の投資信託を買い、予想が当たれば大きな利益を出せるメリットがあります。しかし、予想が外れた場合などデメリットも多い投資方法なので、次は注意点も見ていきましょう。
ブルベア型ファンドの注意点
ブルベア型ファンドのデメリットを見ていきましょう。大きな利益が狙える反面、損失が出る可能性も大きい「ハイリスク・ハイリターン」な投資商品なので、購入する前にデメリットを理解しておく必要があります。
【資産運用】
投資信託を始めたころ、まったくの無知だった私は
ブルベア型のファンドで大失敗した経験があります😅あっという間に250万円を50万円まで溶かしてしまったっけ💦
その失敗を踏まえ、
今は大きなリスクはとらず、コツコツ投資を心がけています。コツコツは勝つコツです✨✨
— 江藤@40代でセミリタイア! (@Eto_fuyuki) June 30, 2019
損失が出るリスクも大きい
相場のトレンドの予想が当たれば大きな利益を狙えますが、ブルベア型ファンドには、予想が外れれば大きな損失が出るリスクもあります。
メリットの説明で使った4.3倍のブル型ファンドを例に考えてみましょう。上昇相場になると予想してこのファンドを購入したものの、下降相場になり、指数が1日で10%も下落した場合を考えます。
このとき、ブル型ファンドは43%ものマイナスになってしまいます。たった1日で、資産が半分近くまで減ってしまったことになります。
このように、大きな損失が出るリスクも高いのがブルベア型ファンドの特徴です。
相場の予想は毎回当たるとは限らず、特に相場観が身についていない初心者にとっては、大きなデメリットだと言えます。
放置で稼げる投資信託ではない
トレンドによってブル型・ベア型を使い分ける必要があるので、放置で稼げるタイプの投資信託ではありません。
投資信託は、一般的には長期投資におすすめされており、長い間ずっと保有し続けることでコツコツ利益を生んでいく商品が多いです。すなわち、長く放置していても問題ない設計になっているものが多いのです。
しかし、ブルベア型ファンドを使うなら、相場のトレンドの変化に敏感に反応する必要があります。トレンドが始まるときにファンドを購入し、終わる前に売却しなければならないからです。
したがって、利益は少なくても良いから楽して投資をしたい、と思う方には、ブルベア型ファンドは不向きな商品です。トレンドの変化に臨機応変に対応できる人に向いた商品と言えます。
信託報酬が高め
ブルベア型ファンドは、信託報酬が高めと言う特徴があります。専門的で特殊な商品を組み合わせ、指数の数倍の値動きをするように設計しているため、運用コストが高いのです。
信託報酬は、投資をしている間はずっと投資家が負担するコストです。信託報酬が高すぎると、投資信託の利益を圧迫してしまいます。場合によっては、利益よりも信託報酬の方が高くなり、投資家は儲けるどころか損をする、というケースもあります。
ブルベア型ファンドは信託報酬が高いため、投資家の儲けよりもコストの方が高くなるリスクもあります。他のデメリットも踏まえると、初心者でも大丈夫な簡単な商品、とは言えません。
ブルベア型の投資信託は投資に慣れてきてから。
ブル・ベアの意味から、ブルベア型ファンドのおすすめポイントと理解しておくべきリスクを解説してきました。
注意点の項目で解説したように、ブルベア型ファンドは使いどころが難しい商品です。相場のトレンドを百発百中で当てられる神のような人ならまだしも、相場観が身に付いていない初心者にはレベルが高すぎます。
投資初心者の方は、一般的なインデックスファンドから投資を始めてはいかがでしょうか。投資に慣れてきてから、ブルベア型の投資信託も検討していくのが良いでしょう。