これから投資を始めようとしている人や投資を始めたばかりの人は、投資に関してどんなことを覚えておけばよいのでしょうか。
投資を安全に行い、投資によって人生を豊かにするために、まずは投資の心構えや基本的な知識を身につけておく必要があります。
この記事の目次
投資をはじめる前に投資に使える資金をチェックしよう
投資額を失ってしまう可能性もある
投資を行うとき、まず決定するべきは資金額です。ここで注意が必要なことは、投資を行う際は余裕資金を利用するべきということです。投資にはリスクがつきものなので、投資額を失ってしまう可能性は十分にあります。株式投資で元手が0になってしまったということは、よく耳にする出来事です。
投資に使える金額を決定しよう
そこで、投資に使えるお金を事前に把握しておく必要があります。注意点としては、貯金額などの使えるお金=投資額という考え方はとても危険だということです。例えば、100万円貯金額があって自由に使える場合でも、投資につぎ込める金額は100万円と考えないことが大切です。貯金額のほか、収入、生活費、ローンの有無、子どもがいれば教育費などを考慮しましょう。様々なことを考えた上で、この程度なら失っても毎日の生活や将来の資産形成に影響が無いだろうという金額で取引しましょう。
取引は余裕資金で行うことが重要
万が一資金を失っても、生活に響かない程度の資金のことを、投資の世界では余裕資金と呼ばれています。人生を豊かにするための投資で、人生を狂わされてしまっては元も子もありません。余裕資金というワードは必ず頭に入れておき、その金額の範囲内で投資額を決めるようにしましょう。こうした心がけだけでも、投資のリスクを大きく減らすことができます。
慣れないうちは少額から取引をはじめよう
投資に慣れるまでには時間がかかる
よほどの天才でない限り、投資を上手くできるようになるまでには時間がかかります。たまに投資初心者で大儲けしたという話を聞くことがありますが、大抵はビギナーズラックやハイリスクハイリターンの投資に成功したケースです。すぐ儲かれば言うことないのですが、コンスタントに利益が出るようになるまでには、どうしても時間や経験が必要になります。
少額取引が可能な投資商品が充実している
近年、投資信託や株式投資、それにFXなどでは、少額取引がとても充実しています。証券会社やFX業者によっては数千円からの投資も可能です。例えばFXでは従来、1万通貨単位で取引が行われてきましたが、近年多くの業者で1000通貨単位での取引が可能になっています。また、株式投資では従来1000株単位での取引が主流だったのが、現在は100株単位で取引できる銘柄が増えています。
少額から始められる投資商品の種類が増えたことは初心者には嬉しい傾向です。
ローリスク・ローリターンの金融商品についてはこちらの記事でも具体的にご紹介しています。
自信がないうちは余裕資金以下の金額ではじめよう
いくら余裕資金とはいえ、いきなり全てを使ってしまうのはとてももったいないでことです。余裕資金なので、最悪全額失ってしまっても生活には支障が出ません。しかしながら、次の投資機会は失われてしまいます。利益を出す自信がないうちは、余裕資金よりも少額で行うことをおススメします。安定的に利益が出るまで時間がかかることを考えれば、余裕資金を失わないようにするということがとても大切です。
投資初心者が投資に失敗しないために把握しておくべきこと
リスクとリターンの関係を知ろう
リスクとリターンは裏表の関係にあたります。ハイリスクに対してはハイリターン、ローリスクに対してはローリターンという構図が出来上がっています。投資家からすればローリスクハイリターンの投資ができればベストですが、残念ながらハイリターンを得ようとすれば必ずハイリスクが付いてくることになります。基本的にはこれが原理原則であり、これを理解していなければ、オイシイ話に乗って詐欺に騙されてしまったりします。
リスクとリターンのバランスを考えながら投資先を選ぶことが大切です。
まずはリスク管理を徹底しよう
リスクとリターンを把握するとき、目が行きがちなのはリターンでしょう。ついつい夢のある方へ意識が向いてしまいますが、長期的に投資を続けていくには投資資金を失わないことがとても大切になります。リターンよりもまずはリスクに目を向けて、計画的な投資を行っていきましょう。
FXや信用取引では資金がマイナスになることも
FXや株式の信用取引などは、自分が保有している以上の資金を動かすことになります。そのため大幅な相場の変動があると、資金がマイナスになってしまうことがあります。数年前に発生したスイスフランの大暴落では、多額の借金を背負ってしまった投資家がいました。こうした危険性を知っておくことで、安全な取引が可能になります。マイナスになってしまうリスクへの対処としては、レバレッジをかけ過ぎないことや、比較的値動きの安定したメジャーな通貨を取引する、そもそも信用取引を行わないなどといったことが挙げられます。
損益を生み出す要因を知っておこう
投資先によって、ローリスクローリターンの金融商品、ハイリスクハイリターンの金融商品など様々です。それではなぜ、リスクとリターンの幅に違いが出てくるのでしょうか。その要因を考えてみます。
価格変動リスク
一つは価格変動です。投資した商品の価格は市場での取引によって、変動します。価格幅が大きければハイリスクハイリターンとなり、反対に価格幅が小さければローリスクローリターンとなります。また、普段は変動幅が小さくても、不定期に大きな価格変化の波が来る場合は、リスクとリターンが高くなります。価格の変動幅は様々な要因によって決定されます。変動幅は市場のプレイヤーの数などの構造上の違いが反映されるので、投資先の商品や通貨によって大きく異なります。
信用リスク
次に紹介するのが信用リスクです。これは株式や債券を発行する企業や行政機関の業績や財政に関係してきます。もちろん、企業の業績、国や地方自治体の財政状態が良いほうが信用が高いということになります。元本が保証されるか、利息や配当の支払われるかといったことの判断材料になるのが信用です。信用という要因によって、金融商品が買われたり売られたりして金融商品の価格も変動します。投資を行うときはニュースや専門誌で信用についてしっかりチェックしておくことが大切です。
金利変動リスク
金利水準の変化は特に債券取引を行うときに注意しておきたいポイントです。金利と債券価格は反対方向に動き、金利が上がれば債券価格は下落、金利が下がれば債券価格は上昇します。債券だけでなく、債券を対象とする投資信託、さらには為替取引にも影響してきます。政府の金融政策、物価水準の変動、景気の動向によって金利水準は日々変化しているので注意が必要です。
利益が出たときの課税について知っておこう
本格的に株式などの投資を行って、利益が出たとしましょう。そのときに考えなければならないのが課税についてです。給与をもらう、事業でお金を稼ぐといった行為と同様に、得た収入には税金がかかってきます。
分離課税が適用
給与所得や事業所得で得た利益には所得税や住民税がかかります。通常、こうした税金はすべて合算して考えるのですが、投資で得たお金については、多くが別々に計算されることになります。分離課税と呼ばれるものです。株式投資であれば、売買差益にかかる譲渡益課税や配当金にかかる配当課税があります。どちらも税率約20パーセントで、仮に1000万円の利益が出たとしても、所得税のような累進制はないので20パーセントのままです。また、これらはサラリーマンであっても確定申告が必要となる場合があるので注意が必要です。
⇒FXで得た利益の税金はいくらかかる?納税額を減らす制度も解説!
個人投資家のための非課税制度NISAとは
個人投資家を支援するため、2014年1月にスタートしたNISAという制度があります。これは条件内であれば、投資商品に発生した利益に対して税金を免除するという制度のことです。新規投資額が毎年120万円以内の合計600万円、期間は5年間で適用されます。購入してから5年以内であれば、配当金や譲渡益に対して課税されることはありません。このような非課税制度は、取引額が大きくない個人投資家の投資活動を促したり支援したりする効果があります。2023年までこの制度は続くので、株式投資を考えている人はNISAを投資先の選択肢として考えてもよいでしょう。
更に詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。初心者でも比較的かんたんに始められる身近な投資商品です。
特定口座で確定申告の必要がなくなる
投資で得た利益は基本的には確定申告の対象となります。サラリーマンなどの給与所得者は20万円以上の利益で、自営業者、主婦、学生は38万円以上の利益で確定申告の必要があります。しかし、株式投資では特定口座という口座を開設しておけば、確定申告の必要がなくなります。特定口座では源泉徴収という形で証券会社が徴税を行ってくれます。年間報告書を証券会社が作成してくれるので、確定申告の必要がなくなるというわけです。
投資初心者が気をつけるべき投資先とは
株式投資や債券投資などの投資活動を始めようとするとき、いろんな投資商品に目移りするかもしれません。どんな投資先にもメリットやデメリットがある一方で、初心者が手を出すべきでないものがあることも事実です。
先物取引
先物取引とは、金、エネルギーなどの商品を将来の時点で、任意の値段で取引することです。例えば、1か月後に金を10万円で売却する権利を買ったとしましょう。もし、1か月後の金の価格が20万円になったとすると、当日には10万円でしか売却できないので、差額の10万円損失が発生することになります。初心者が先物取引を行うべきでない理由として、商品に関する情報が少なく予測しづらいこと、市場参加者が少なく価格変動が大きいこと、レバレッジを利かせた取引になることが挙げられるでしょう。
ハイレバレッジでのFX取引
2つ目におすすめできない投資方法はハイレバレッジでのFX取引です。これについてもレバレッジと関係します。FXはレバレッジを利かせて行う為替取引ですが、海外FXの場合100倍のレバレッジをかけることもできます。リスクという面で考えれば、ハイレバレッジでの取引は危険です。日本のFX会社では、レバレッジの水準が25倍までに規制されていますが、初心者はできれば5倍程度のレバレッジで取引することをおススメします。
不動産投資
最後に初心者が行うべきでない投資は不動産投資です。不動産会社に勤めているなど、何か特別な経験や知識があれば別ですが、基本的には手を出すべきでないでしょう。ほとんど専門知識のない素人が賃貸需要を予測することは難しいと言えます。都市部では不動産価格が高く、郊外や地方では人口減少によって賃貸需要が落ち込む可能性があることから、都市部と地方ともに大きなリスクを抱えることになります。
ただし、勉強して知識を深めて運用すれば、堅い投資商品であることは確かです。始めるのであれば、業者にまかせっきりにするのではなく自分自身も学ぶ必要があります。
投資初心者には投資信託がおすすめ
初心者向けにおススメできる投資先の特徴として、ローリスクローリターンということが挙げられます。大きく資産を減らしてしまうリスクを管理できるのが、投資信託の存在です。投資信託とは、投資家からお金を集めて専門家が株式投資や債券投資を行うことです。その運用結果をもとに、各投資家への配分額が決定されます。それでは投信を行うメリットはどんなことがあるのでしょうか。
分散投資ができる
リスクを減らすための方策の一つとして、投資先を分散させることが挙げられます。ただし、複数の銘柄を購入する分散投資は初心者には難しいものです。そんな中、1本購入するだけで分散投資ができる投資信託はとても魅力的と言えるでしょう。
小口投資が可能に
また、多数の投資家からお金を集めて投資が行われることから、1人あたりの投資額は少なくて済みます。多くの投資信託では最低金額1万円前後から、中には100円単位や1000円単位で購入できるところもあります。誰でも気軽に始められるのが投資信託のメリットといえます。
プロによる資産運用
さらに資産運用をプロに任せることができるというメリットもあります。プロは長年の経験から相場観を熟知しており、高度な分析によって、堅実な投資を行ってくれるでしょう。またプロの分析や意見を理解して、自分の投資に生かしていくことも可能です。
まずは少額取引から少しづつ上達していこう
今回は投資初心者が知っておきたい基本的な知識について紹介しました。
いくつかポイントを紹介しましたが、もっとも大切なことは投資にはリスクが伴うということです。リスクを管理して長く投資を続けるためには、投資額の決定、投資先の決定など、熟考すべき点が多数あることにお気づきいただけたのではないでしょうか。
人生をより豊かにするための投資を行うためには、投資を長く続けることが大切です。目先の利益にとらわれず、少額取引から少しづつ上達していくことが投資初心者には必要なことだと言えるでしょう。