みなさんも新聞やインターネットの広告などで
・老後のためのマネーセミナー
・女性向けのやさしいマネーセミナー
とタイトルが付いたセミナーの案内を見たことがあるのではないでしょうか。こういったセミナーの多くは無料で行われることが多いです。
会場も大きなホテルなどで行われており、中には参加者にお茶菓子をふるまうセミナーもあります。
無料のセミナーの場合そういった会場費や飲食代等は当然主催者である会社が負担しています。それだけの経費をかけてまで無料でセミナーを行う目的は何でしょうか?実際に、かけた経費以上の利益を会社としてあげているとするならば、どのような仕組みで利益を得ているのでしょうか。
本記事では、お金の勉強はしてみたいけれど「無料」なことが逆に少し気にかかって参加を躊躇してしまう…という方へ、無料マネーセミナーのしくみを解説します。
マネーセミナーは、お金の基礎知識を学べるとても価値あるセミナーです。少しでも多くの人に参加の機会を持ってほしいと思います。
この記事の目次
マネーセミナーが無料で行われる目的とは?
マネーセミナーが無料で行われる目的は主催者の業種・業務内容などによってさまざまです。
主催者が民間企業である場合、利益をあげないと経営が成り立ちません。当然ながら収益を上げるための目的があると思って間違いないでしょう。
ここでは無料セミナ-が行われる目的についていくつか説明したいと思います。
目的①有料セミナーの紹介
主に有料のマネースクールが主催者になっていることが多いです。
まず無料体験という形でセミナーを受講してもらって、気に入ったら有料のセミナーへ参加してもらう、という流れになっています。もちろん、無料セミナーを受けたあとは主催者から有料セミナーの案内があると思いますが、受けるのも断るのも自由です。
お金を払っても話の続きを聞きたい、、もっと知識を深めたいと思えば有料セミナーに参加します。
目的②自社商品の販売
主催者は主に銀行や証券会社などの金融機関や不動産投資会社が多いです。
金融機関主催のセミナーでは自社の商品の特徴を参加者に説明することによって販売につなげる機会になります。不動産投資会社は不動産経営のノウハウを参加者に伝えることで自社の不動産の販売、仲介や管理等の契約につなげる機会になります。
説明する商品は様々ですが、たとえば
- 銀行の場合-iDeCo( 個人型確定拠出年金)、NISA
- 証券会社の場合-投資信託など
- 不動産投資会社-マンションを所有して家賃収入を得る方法
といった説明会が行われることが多いです。
説明の内容も参加者に合わせて基本的なことの説明から、具体的な商品の説明までするものもあります。
✅ おすすめの投資信託の商品が知りたい
✅ NISAやiDeCoの制度について一から勉強したい
✅ 将来に備えて副収入の一つとして不動産経営に興味がある
という方にはおすすめできるセミナーだといえるでしょう。
目的③個別相談の機会を得る
主催者は主に生命保険代理店やFP(ファイナンシャルプランナー)事務所などが多いです。
取り扱うテーマはお金に関すること全般で、「家計の見直し」や「老後の備え」など多様です。近年、テレビや雑誌などのメディアでも「老後破産」ということばがよく使われています。
これは今の60代、70代の世代が定年退職後に収入が減ったことにより、残された住宅ローンの負担などと相まって生活費が足りなくなり持家を手放すことになったり、自己破産したりすることになった人が増えてきたことから出来た言葉のようです。
まだ30代~50代の現役世代にとっても他人事ではなく、将来の自分たちに関わることなので関心が高いようです。
セミナーからの流れとしては
- 無料で来てもらった参加者からセミナー終了後に個別相談の案内をする
- 後日に個別相談を実施してローンの借り換えや保険の見直しなどの助言をする
- 相談を通して信頼関係を築いて自社又は提携会社の商品等の販売や仲介につなげる
という流れになります。
取り扱う商品は、保険代理店ならば保険、FP事務所ならば投資信託などがあげられます。
もっとも、保険代理店をしているFP事務所も多いのではっきりと線分けできるわけではありませんので確認が必要です。
目的④業務獲得
主催者は主に弁護士、司法書士、税理士、行政書士などの士業が多いです。
主なテーマは相続に関することです。
具体的には
- 「争族」の対策(相続人同士の争い)
- 相続税対策
などが人気のようです。
参加者が気になっているテーマをわかりやすく説明して、解決策を示すことで信頼を得て遺言書作成や相続税申告などの業務獲得のために行われることが多いです。
話の内容も
✅ 相続人それぞれの法定相続分はいくらか?
✅ 相続税の基礎控除額はいくらか?
など基本的な内容も行なっているので、初心者でも理解しやすくなっています。また、弁護士会などの団体主催の場合は社会貢献的な意味合いが強いのであまり営業色は弱いです。
目的⑤純粋なマネー教育
主な主催者としては、「県や市町村などの地方自治体」、「商工会議所などの団体」、「NPO法人などの非営利団体」といった団体が挙げられます。
民間企業と違い利益をあげることが目的ではないので、何か商品を販売しようという目的はありません。
セミナーの目的としては、
- 一般の方にお金に関する知識の情報提供
- 団体の活動の普及
などが挙げられます。
商品の購入等はまだ考えていないが、お金のことを勉強しておきたい方におすすめです。
無料でマネーセミナーを開催できる理由
地方自治体や非営利団体は別として、民間の企業は利益をあげることを目的に無料セミナーを行っています。先ほど見てきたように、主催者ごとに無料セミナーをおこなう目的はいろいろありましたが、収益をあげるための仕組みをそれぞれ持っています。
収益をあげるパターンは大きく分けて3つに分かれます。
- 商品の販売又は仲介手数料や業務の報酬
- 有料セミナー
- 受注業務の報酬
それぞれみていきましょう。
商品の販売又は仲介手数料
セミナー主催者の収入源の一つは販売や仲介の手数料です。
セミナー参加者の中にはセミナーの内容を聞いて、自分自身のお金のことについて真剣に考えるようになる方も多いです。そして、その結果として何らかの行動に出る方もいます。
- 保険を見直す
- 住宅ローンを借り換える
- 投資信託などの資産運用を始める
といった行動が代表的です。
参加者にとっても、今よりも毎月の支出を削減することが出来たり、良い金融商品を購入できれば参加した意義はあったといえます。
セミナーの講師の多くはファイナンシャルプランナーが務めることが多いのですが、その人が保険会社の代理店、金融商品の仲介、不動産経営などをしている場合は、どうしてもその分野の話が多くなる傾向にあります。
もし参加者がお金のことを勉強する目的で参加した場合でも、いま自分が知りたい分野と講師の専門分野が一致していないと、参加してもあまりいい結果が得られないこともあります。
そのため、参加するマネーセミナーのタイトル、内容説明、講師のプロフィールなどを確認するようにしましょう。
有料セミナー
もう一つの収入源が有料セミナーの受講料です。
マネーセミナーに参加したことがない人たちに向けて、いきなり有料セミナーを開催すると宣伝したとしても、来てくれる可能性はあまり高くないです。そこで、まず無料セミナーに参加してもらい、お金について役に立つ話をします。
そこで参加者が満足して、「このセミナーの続きを聞きたい」と思ってもらうように主催者側は努力しているのです。主催者側の収入源が有料セミナーのセミナー料である場合は話の内容は幅広いジャンルを扱うことが多いです。
なぜなら、この場合に主催者が売りたいものは”特定の金融商品”などではなく、顧客に合わせた提案ができる”自社そのもの”だといえるからです。
受注業務の報酬
弁護士や税理士などの士業が無料セミナーを開催すると、そこで個別相談が発生することがしばしばあります。もともと相続などで悩みや疑問を抱える参加者が多いからです。個別相談の結果、遺言書の作成や相続税の申告等の業務を受注することで報酬を得られるという仕組みになっています。
目的別「収益の仕組み」比較
それぞれセミナーの目的や主催者ごとに収入源を表でまとめたので、参考にしてみてください
目的 | 主催者 | 収入源 |
---|---|---|
有料セミナーの案内 | マネースクール | セミナー料 |
自社商品の販売 | ・銀行 ・証券会社 ・不動産投資会社 |
・iDeCo、NISAなど ・投資信託 ・不動産仲介 ・管理 |
個別相談 | ・保険代理店 ・FP事務所 |
・生命保険 ・投資信託など |
業務獲得 | ・士業(弁護士・税理士等) | ・遺言書作成、相続手続き ・相続税申告 |
純粋なマネー教育 | 地方自治体 商工会議所等の団体 NPO法人など |
なし |
マネーセミナーのメリットとは?
先ほど説明したように、無料セミナーをおこなう主催者には参加者から金融商品等を購入、契約してもらうことで収益を上げる目的があります。
それでは、主催者側のそういった目的を考慮しても、無料セミナーに参加するメリットにはどのようなものが考えられるでしょうか。また、反対に何かデメリットはあるのでしょうか?
ここでは無料セミナーに参加するメリット・デメリットについて説明していきたいとおもいます。
メリット①幅広い知識が手に入れる機会を得られる
「お金について勉強したいけれど、何から勉強したらいいのだろう?」と悩んでいる人に、マネーセミナーは非常に役に立ちます。
セミナーのテーマは
- 節約
- 貯蓄・資産運用
- 不動産投資
- 住宅ローン
- 保険
- 相続対策
など様々なジャンルの話を聞くことが出来ます。
これらの話を座って聞くだけで幅広いお金の知識を身に着けることが出来ます。また、こういったセミナーに参加することで自分に必要な知識が何か、ということも見えてくるのではないでしょうか。
初心者でもわかりやすく説明してくれるセミナーも多く開催されているので、女性にも支持されています。
メリット②最短距離で知識を得られる
たしかに、自力で勉強するのも一つの方法ではあります。本で勉強したり、ネットで自分で調べることで自分の知りたかった答えにたどり着けるかもしれません。
しかし、本を買って勉強するのはお金がかかります。また、インターネットで調べるにしても、多くのサイトがあり、自分の知りたい情報がすぐ見つけられるとは限りません。
その点、セミナーに参加すれば、FP(ファイナンシャルプランナー)などのお金の専門家の人たちから最新のお金の情報を聞くことが出来ます。その中では自分の知りたかった情報やその道の専門家だけが知っている、インターネットでは知ることが出来ない情報も教えてくれることも多いのです。
本やインターネットで勉強するのもいいですが、無料セミナーで専門家の話を聞いてから自主勉強した方が、より効率が上がるのではないでしょうか。
メリット③具体的な金融商品の情報を得られる
お金全般のことについて勉強したあとは、「ではどうやってお金を増やせばいいのか」という疑問を抱いて個別の金融商品や投資のことを知りたくなります。でも、具体的に投資したいと思ってもどの商品が自分にあっているかはよくわからないですよね。
やはり自分で勉強するだけではどうしても限界があります。
✅ 自分に合った保険の商品を調べたい
✅ いまおすすめの投資信託を知りたい
そう思って勉強してもすぐには正解にたどりつけないのが現実だと思います。保険にしても、投資信託などの金融商品にしても種類が膨大にあるからです。その中から自分でベストの商品を選ぶのはかなり難しいでしょう。
その点、FPなどのマネーセミナーの講師はそれぞれ保険や投資信託などの専門家であるので、金融商品を選ぶ際の基準や注意点などをわかりやすく教えてくれます。
メリット④自分で適切な金融商品の選択ができるようになる
マネーセミナーに行って知識が増えてくると、自分で金融商品を選ぶコツが身についてきます。
それまでは、
✅ 保険会社の担当に勧められるままに生命保険に加入したが、補償内容を把握していない。
✅ 銀行窓口で進められるままに投資信託を購入した。
そんな方もいるかもしれません。しかし、実際に勉強したら自分の状況と合ってない保険の契約や金融商品の購入をしていたことに気付くこともあると思います。
たとえば
- 自分の加入している保険の補償内容を確認したら、必要以上に死亡保険金や入院保険金が多かった。
- 自分が購入した投資信託を確認したら手数料が思っていたより高く、もっと手数料が安い証券会社があることに気付いた。
なんてことも”よくある話”なのです。
それに気づくことで保険の見直しや投資信託などの金融商品の見直しなどにもつながり、支出の削減などにも役立ちます。また浮いた出費を貯蓄や投資に回すことでいい循環ができるきっかけになります。
勉強して知識を増やせばそういったことも自分で判断できるようになるのです。
マネーセミナーのデメリットとは?
一方、マネーセミナーのデメリットとしてはどんなものがあるでしょうか。
セミナー後に有料セミナーや個別相談の案内を受ける
デメリットとしてあげるとするならば、セミナー後に有料セミナーや個別相談の案内(勧誘)を受けることではないでしょうか。
もちろん、主催者も慈善事業ではありませんし、利益を上げるために有料の商品等の案内をするのは当然なのですが、ただ単に勉強したいだけで商品購入や保険の契約をするつもりはない人にとっては、そういう案内が少し煩わしく感じるかも知れません。
ですが、基本的には主催者側もそこまでしつこく商品等の勧誘をすることはないので、あまり気にする必要はありません。
デメリットが全くないわけではないですが、参加するメリットの方がはるかに多いと思うので、地元で自分の興味のある無料セミナーが開催されるときは積極的に参加することをお勧めします。
自分が知りたいテーマのセミナーに参加しよう
これまで無料のマネーセミナーについてその仕組み、メリットとデメリットについて説明してきました。
まとめると以下のようなことが言えます。
- セミナーの主催者ごとに目的がある
- セミナーの主催者はそれぞれ無料でも収益を上げる仕組みを持っている。
- 無料セミナーは参加者にとっても無料でお金の勉強ができるため、メリットは多い
マネーセミナーで学べるテーマはさまざまですから、受講の際に目的を決めてから参加することも重要です。
ぜひ、ご自分の将来のために役立ててください。