ダークプールを解説。個人投資家は使うべきか?

証券用語に「ダークプール」という単語があるのですが、「ダーク」と入っている時点で何だか怪しい印象ですよね。

ダークプールは個人投資家にも関係あるのでしょうか。
知らないと損することはあるのでしょうか。

この記事ではダークプールの意味を解説し、個人投資家が使うメリット・デメリットを解説していきます。

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ダークプールとは?

株式の取引は、証券取引所を介して売買するのが一般的です。これに対してダークプールとは、証券取引所を介さず、証券会社が投資家の注文をマッチングさせて約定させる取引のことです。

ダークプールは「dark pool in liquidity」の略称で、すなわち「見えない流動性」という意味です。証券取引所を介さない取引なので、外部からは価格や数量が分からず、流動性が見えないのです。

外から見て取引の状況が分かりにくいため、批判されることもあるのですが、機関投資家やヘッジファンドの大口取引ではよくダークプールが使われています。彼らは大量の株式をいちどに売買するため、証券取引所を介して売買すると、株価の高騰や暴落を引き起こしてしまうかもしれないからです。それよりは、相場を混乱させずに売買できるダークプールを選ぶというわけですね。

ダークプールとPTSの違い

ダークプールと似ている制度に、PTS(私設取引)があります。PTSも証券取引所を介さずに取引できるので、その点はダークプールと同じです。

ダークプールと異なるのは、取引に参加していない投資家も注文状況を見られることです。ダークプールは使っている投資家の注文状況が見えないのに対し、PTSはどの株価にどの数量の注文が入っているのか確認することができます。

PTSを使う場合、他のトレーダーの注文状況を見て自分の注文を入れることができます。他の人の動きが分かるため、投資の戦略も立てやすいです。

個人投資家がダークプールを使うメリット

株を楽しむサラリーマン
ダークプールは機関投資家やヘッジファンドがよく使ってきたと解説しましたが、最近では個人投資家向けにも整備されてきています。個人投資家がダークプールを使うメリット・デメリットを考えていきましょう。

まずはメリットについてです。主なメリットを3つ紹介していきますので、ダークプールに関心がある方はご参考ください。

1. 時間外でも取引できる
2. 取引手数料が低い
3. 細かい刻みで約定できる

時間外でも取引できる

ダークプールはいつでも取引ができるので、証券取引所が開いている時間に売買ができないトレーダーにも使えます。

東京証券取引所の場合、平日の9時から11時半、12時半から15時までが取引できる時間です。サラリーマンの方など、この時間は仕事が忙しくて株の取引なんてできない、と言う方も多いですよね。

そのような方は、証券取引所が空いていない時間でも株の取引ができるダークプールを活用してみてはいかがでしょうか。

取引手数料が低い

ダークプールでの取引は、証券取引所を介した取引よりも手数料が低く設定されていることが多いです。手数料の節約ができるので、ダークプールを使いたいと思っている投資家もいます

ダークプールの場合、取引が証券会社の中で完結するため、手数料が安く設定されています。証券会社が証券取引所に注文を出す手間がかからないので、その分のコストが節約できるというわけです。

細かい刻みで約定できる

証券会社によって異なるのですが、証券取引所での売買よりも呼び値(刻み値)を小さく設定していることが多いです。このため、自分により有利な価格での約定を狙うことができます。

証券取引所での取引は、基本的には1円単位です。一方、ダークプールの取引では0.1円単位に設定している証券会社もあります。より細かく約定価格を設定できるので、自分に有利な価格で取引できる可能性が高くなります。

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個人投資家がダークプールを使うデメリット

口座を確認して渋い顔をする夫婦
メリットがある反面、個人投資家がダークプールを使う場合はデメリットもあります。主なデメリットを3つ解説していきましょう。

1. 利用するための条件が厳しい
2. 成功報酬がかかる場合がある
3. 参加者が少なく約定しにくい

利用するための条件が厳しい

ダークプールは誰でも利用できるわけではなく、証券会社ごとに条件があります。条件を満たせば利用できるのですが、数百万円の資産が口座にあることを条件としてあることもあり、厳しめの内容もあります。

とはいえ、最近は条件が緩和されてきているので、誰でも使えるサービスになりつつあります。例えば、SBI証券でダークプールを活用できるサービス「SBBO-X」(SBI Best Bid Offer)を利用する場合の条件は、2019年4月末に変更され、かなり緩くなりました。

【変更前】
以下のどちらかを満たすこと。
・月末時点の預り資産が1,000万円以上
・月末時点の預り資産が500万円以上で、月末を含む月内に現物株式の取引が1回以上ある

【 変更後】
20歳以上かつ国内現物株式の取引経験が1年以上

変更前は少なくとも500万円以上の資産が必要だったのに対し、変更後はかなり緩和されています。国内の現物株式を1年経験した20歳以上の人なら、ダークプールを利用することができます

このように利用条件が緩和されつつあるので、まずはお使いの証券会社の条件を調べてまましょう。まだ厳しい条件が設定されているなら、他の証券会社に乗り換えるのも手かもしれません。

成功報酬がかかる場合がある

手数料が安くなるのがダークプールのメリットだと解説しましたが、成功報酬がかかって手数料が高くなるケースもあります。

例えば松井証券の場合、ダークプールでの約定価格が証券取引所の約定価格よりも有利だと判定されたとき、松井証券に成功報酬が支払われます。成功報酬は約定価格の差の30%です。

それでも、結果的に証券取引所での売買よりも高くなる、という本末転倒なことは基本的には起こらないです。ただし、成功報酬がかかることもあると理解はしておきましょう。

参加者が少なく約定しにくい

ダークプールの最大のデメリットが、参加者が少ないことです。1つの証券会社の中で投資家の注文をマッチングさせるため、どうしても売買のチャンスは限られます。

証券取引所は参加者が多いので、狙った価格で約定できる可能性が高いです。マッチングしやすいので、素早く売買することができます。

一方、ダークプールは参加者が少ないので、いつまで経っても買えない・売れないといったことがあり得ます。今すぐに買いたいとき、売りたいときには適さない取引方法です

個人投資家はダークプールを使うべきか?

個人投資家でも使いやすいようになってきているダークプールですが、デメリットもあるので、使うべきかどうか悩みますよね。結論から言えば、どんな取引をしたいのかによって向き不向きが変わってきます。

ダークプールが向いている人

ダークプールが向いているのは、長期投資を前提として、決めた価格で購入したいケースです。銘柄分析などを通じて最適な理論株価を導いたら、その価格で注文を入れておきましょう。

ただし、いつ約定するかは分かりませんし、最悪の場合、永久に注文が成立しないこともあります。そのリスクを理解した上で、適正な株価があると判断した場合に使いたいところです。

ダークプールが向いていない人

多くの人にとっては、ダークプールは必要ありません

デイトレードのような短い時間に取引する場合、参加者が少ないダークプールでのマッチングは向きません。素早く売買できる証券取引所を使った方が良いです。

長期投資の場合も、参加者が多い証券取引所の方が約定しやすいです。狙った銘柄の売買がすぐに成立しないと、資金効率が悪くなってしまいます。

平日に取引できない会社員などの方も、指値注文を使えば取引することができます。指値注文はある価格での売買を予約する注文方法で、相場を見られない方におすすめです。

株初心者〜中級者のうちは通常の取引方法で

株式投資セミナーに参加する若者たち
ダークプールについて解説してきました。外部には見えないところで取引する方法があることを、覚えておいていただければと思います。

個人投資家も使いやすくなってきていますが、ダークプールが役立つシーンは限定的だと言えます。

基本的には証券取引所への注文で十分ですので、上級者になった後、必要なときだけダークプールを使うのが良いでしょう

株式投資の世界には、さまざまな証券用語が存在します。難しそう…と構えることなく、どんどん覚えて知識を増やしましょう。初心者向けのセミナーに参加すると、理解が深まるのでおすすめです。人気トレーダーの解説YouTubeなども、用語を把握していた方がよく理解できて楽しめますよ。

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