配当金だけで生活することを夢見る人もいらっしゃることでしょう。
中でも高配当に目を付けて「米国の高配当ETF」に注目している人もいらっしゃるのではないでしょうか?
しかし米国の高配当ETFといっても、種類も多くどれを選んでいいのかわからないことも多いはずです。
そこで今回は、米国の高配当ETFの特徴と選ぶための注意点を徹底的に解説していきます。
この記事の目次
米国の高配当ETFランキング
まずは米国のETFで、高配当ETFをランキング形式で見ていくことにしましょう。
順位 | 名称 | 利回り |
---|---|---|
1位 | グローバル・X・スーパーディビィデンド・REIT・ETF | 13.25% |
2位 | SPDRダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステートETF | 11.06% |
3位 | iシェアーズ先進国(除く米国)不動産ETF | 8.64% |
4位 | SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF | 5.89% |
5位 | バンガード・米国エネルギー・セクターETF | 5.86% |
※利回りとは分配金利回りのことで、直近1年間の分配金合計÷基準株価で算出
続いて日本の高配当ETFについても見ていきましょう。
順位 | 名称 | 利回り |
---|---|---|
1位 | 上場インデックスファンド新興国債券 | 5.44% |
2位 | NEXT FUNDS 新興国債券・JPM・EM・プラス(ヘッジ無) | 5.01% |
3位 | 上場インデックスファンドアジアリート | 4.52% |
4位 | iシェアーズ米ドル建ハイイールド社債ETF(ヘッジ有) | 4.47% |
5位 | NEXT FUNDS 日経平均高配当株50 | 4.43% |
米国ETFと日本のETFを比べてわかることは、米国ETFが圧倒的な利回りの高さを誇っていることではないでしょうか?
米国ETFの配当が高い理由は、個別銘柄が日本と比べて配当金が高いことが挙げられます。米国株の中には何十年も連続増配(配当金を上げること)を続ける企業もいくつもあります。
一方日本株では「花王」が20年ほど増配をし続けた以外、目立った連続増配を行った銘柄はありません。これには米国と日本の配当金に対する取り組みが違うことが考えられます。つまり高配当ETFを狙うためには、米国ETFを狙う方がよいといえるでしょう。
また注目すべきポイントとして、日本の高配当ETFの上位5位のうち、5位の「NEXT FUNDS 日経平均高配当株50」以外は全て海外が投資対象となっていることです。つまり日本国内を投資対象とした高配当ETFを見つけることは数が限られるといえるでしょう。
ではもう少し米国のETFの特徴について詳しく見ていきます。
米国のETFの特徴
米国のETFには以下の3つの特徴があります。
- 米国の投資家は配当金に対して強く意識する
- 低コストで運用できる
- リスク分散をしながら運用できる
以下でそれぞれについて詳しく見ていきましょう。
①米国の投資家は配当金に対して強く意識する
日本に比べて米国では投資家の配当金に対する意識が高いです。株主総会では「ものいう株主」が多く、利益が出れば増配することを要求してきます。つまり企業が利益を上げるほど配当金の増配が行われる確率が高くなっていきます。
一方、日本では米国ほど株主の存在は大きくなく、企業は利益が出ても株主に還元せずに内部留保という形でストックすることが多いです。日本の企業の内部留保は2018年に約463兆円あるとされ、株主に還元するよりも企業の存続を第一に考える傾向があります。
そのため日本株は利益が出ても増配する確率は、米国株よりも低いといえるでしょう。
米国株が全体的に配当金が高いため、そのような銘柄をETFのポートフォリオに組み入れることで、ETFの利回りも高くなります。
②低コストで運用できる
ETFは投資信託であるため、保有すると運用コストが発生します。ETFのコストは日本では「信託報酬」といわれ、米国ETFでは「経費率」と表現されることが多いです。
米国のETFはインデックス(市場平均)を指数としているものが多く、運用にかかるコストがかからないため、経費率が低い傾向にあります。そのため経費率が0.1%未満のETFも珍しくなく、低コストで運用することができます。
ETFの経費率は保有している間、常に発生するため長期で運用するほど負担が増していきます。そのためETFの経費率はなるべく低いものを選ぶことがポイントです。
米国のETFは低コストで運用できることから、長期で配当金狙いの投資家にとって強い味方となるでしょう。
③リスク分散しながら運用できる
ETF全般にいえることですが、多くの銘柄でポートフォリオを形成するため、1つの銘柄に投資するよりもリスクを分散しながら運用することができます。
投資の基本に「たまごを一つの籠に盛るな」という格言があり、ETFはそれを実践できる投資対象です。
1つの銘柄に集中して投資を行うと、一時的な業績悪化や取引先の悪いニュースなどにより株価が暴落し配当金が下がることもあります。
ETFはそのような投資対象を分散させて、安定的な運用を目指していくことが可能です。
また米国のETF市場は日本とは比較にならないくらい巨大です。各銘柄の純資産(ETFに集まったお金)も巨額で、値動きは比較的安定的に推移します。米国のETFは価格の安定感もあるため、長期でバイ・アンド・ホールドする投資家に支持される理由の一つです。
では米国の高配当ETFに投資するための注意点はどのようなものがあるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
米国の高配当ETFの注意点
米国の高配当ETFには以下の2つに注意しましょう。
- 「為替リスク」と「価格変動リスク」がある
- 税金の取り扱いには注意
以下で一つずつ見ていきましょう。
①「為替リスク」と「価格変動リスク」がある
米国ETFは日本のETFと異なり「為替リスク」が発生します。たとえば以下の場合で考えてみましょう。
【購入時】
- 1ドル=100円
- 米国ETFを1株=10ドルで100株購入
- 購入金額:1,000米ドル(10ドル×100株)
- 日本円の購入金額:10万円(1,000米ドル×100円)
▼米国ETFが1株=11ドルになったため売却
【売却時】
- 1ドル=90円(円高に)
- 米国ETFを1株=11ドルで100株売却
- 売却金額:1,100米ドル(11米ドル×100株)
- 日本円の売却金額:99,000円(1,100米ドル×90円)
⇒損益:99,000円-100,000円=-1,000円
つまり上記の例の場合、ETFの価格が1ドル上がったとしても、為替が円高に振れため1,000円の損失を受けてしまいました。このように米国ETFに投資するためには、常に「為替リスク」があることを覚えておかなければなりません。
また同時に株価が大きく動く「価格変動リスク」もあります。上記の例と逆に円安に振れたタイミングで売却をしても、ETFの価格が下がってしまうと損失を受けてしまうことを忘れないようにしましょう。
では続いて税金に関する注意点を見ていきましょう。
②税金の取り扱いには注意
米国ETFで配当を受け取った場合、配当に対して10%の税金が発生します。ところがこの10%は米国の税金であり、この配当を日本で受け取ればさらに20.315%の税金が課せられ、合計で30%近くの税金を支払うことになります。
ただし日本で確定申告を行い「外国税額控除」を受けることで、米国で支払った税金の還付を受けることは可能です。
米国ETFで配当金を受け取る場合は、確定申告をすることを覚えておきましょう。
米国ETFの特徴とリスクを理解してからはじめよう
米国の高配当ETFについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
日本のETFに比べ、圧倒的な配当利回りを提供してくれる米国ETFは多くの投資家に支持されています。
しかし日本のETFにはない特徴があるなど、注意点もしっかり踏まえて投資を行わなければ返って損失を受けてしまうこともあります。
米国ETFの特徴と注意点を踏まえて、夢の配当金生活を実現してみてください。