たんす預金は相続税や贈与税の節税に有効?実は危険なデメリットも…

贈与税は、年間110万円の贈与であれば非課税ですが「それ以上の金額を、子どもや孫に非課税で渡したい…」と贈与や相続目的で、現金を自宅に保管している高齢者が多くいます。盗難リスクに備えて、高額な金庫まで購入して利息のつかない現金を抱え込む姿は奇異的にも見えます。

この行為は税務署にバレることはないのか?と疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
贈与するのであれば、少しでも安全にお得にしたいのは、誰もが同じ気持ちだと思います。

この記事では、たんす預金に関するマネーリテラシーをご紹介します。

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たんす預金で非課税贈与や相続はできるのか

貯金箱と電卓
実際に、たんす預金にしておけば、贈与や相続は非課税にできるのでしょうか?また、税務署にたんす預金の存在はバレないのでしょうか?ここでは、これらの質問について分かりやすく解説していきます。

税務署にたんす預金の贈与は見つかる

結論からお伝えすると、正しい知識を身につけなければ、たんす預金による贈与は、税務署にバレてしまいます。税務調査に選ばれる確率は20%程度という説もありますが、たんす預金がバレてしまうと追徴課税の対象になるだけではなく、逮捕されてしまうことも少なくありません。

実際に、非課税対策でたんす預金をしていた人が逮捕された事例は多いため、刑罰を避けるためにも節税対策を身につけて、贈与や相続するほうを著者はおすすめします。

税務調査のポイント

たんす預金が税務署にバレる理由は、税務署には個人情報を閲覧して調査する権限が与えられているからです。

  • 過去10年分の預貯金の出入金履歴
  • 過去10年分の有価証券の移動履歴
  • 不動産登記情報
  • 自動車の登録情報
  • 生命保険金の給付情報
  • 所得金額

これらの情報を税務署は確認することができます。

たんす預金がバレてしまう理由

税務調査のポイントについては触れましたが、実際にタンス預金がバレてしまうときは、どのような場合なのでしょうか?ポイントは、出入金履歴や登記情報です。

例えば、贈与した500万円を銀行に預けようとすると「どこから入手したお金なのか?」を尋ねられます。あまりにも高額な金額だと、怪しまれてしまうわけです。だからと言って、少額ずつ預け入れをしても、一定期間の預け入れの総額が高額となった場合も、税務調査の対象になってしまうので注意してください。

また、たんす預金を元手に不動産や自動車を購入した場合も、贈与者や相続人の所得から購入できるか否かが判断されて、少しでも怪しいと疑われてしまったら、税務調査が入ります。

そもそも「たんす預金」とは

タンスにお金を隠す主婦

たんす預金とは金融機関に預けずに、自宅に保管している現金のことをいいます。日本ならではの俗人用語です。銀行などの通用預金と比較して使われる言葉です。かつては、たんすの中に保管されている現金を表現するための言葉として使われていましたが、近頃は金庫や貯金箱に保管する場合にも、たんす預金と呼ばれるようになりました。

たんす預金の総額は約43.2兆円

第一生命経済研究所の調査報告によると、日本のたんす預金残高は2017年2月末地点で43.2兆円。銀行が超低金利時代を迎えており、貯蓄をしても利子が付かないなどの理由から、たんす預金をしている人は増加していることがグラフから読み取ることができます。
(参考資料:第一生命経済研究所経済調査部「現金と消費~巨大化するタンス預金の理由」)

たんす預金は相続対策が目的

2015年1月に相続税課税が強化されました。基礎控除額が4割も縮小されたため、課税対象外だった人も対象になるため、自分が溜め込んだ資産が課税対象になることを不安視する方が増えたのです

「手渡しにすれば、バレないのではないか…」
「通帳に預けても利子はつかないかた、自宅に保管した方が良いのではないか…」

と考える方が増えているのです。

また、富裕層は脱税の意図はなくても、税務署や国税庁査察部などの調査を嫌がる傾向があるため、たんす預金している人が多いです。2016年1月からマイナンバー制度が開始。2021年を目途にマイナンバーは銀行口座と紐づけられることが国の方針として定められる予定です。このような背景もあり、誰にも資産を知られたくないという富裕層のたんす預金は増加するとも言われています。

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贈与税や相続税のために「たんす預金」をするデメリット

贈与税について解説する専門家

たんす預金は「非課税贈与や相続が行えるのかも」と安易な気持ちで行う人もいますが、その結果、追徴課税や罰則が与えられてしまうこともあります。ここでは、たんす預金をするデメリットについて解説します。

追徴課税を受けてしまう

たんす預金が税務署にバレた場合は、4種類の追徴課税がされてしまいます。

・無申告加算税
相続をした場合は10か月以内に税務署に申告して、定められた金額を納税しなればいけません。しかし、申告をせずに税金を納めなかった場合は、無申告加算税の対象に。
無申告加算税は、本体納付すべき金額の50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%です。

[事例:100万円の相続税を納付しなかった場合]

(50万円×15%)+(100万円-50万円)×20%=17万5千円

・過少申告加算税
過少申告加算税は、申告した相続税額が少額であった場合に課せられる加算税です。税率は、新たに収めることになった税額に対して、50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%です。

[事例:100万円の相続税を追納する場合]

(50万円×10%)+(100万円-50万円)×15%=12.5%

・重加算税
重加算税は、事実を仮装隠蔽して申告をした場合に課せられる加算税です。単なる申告漏れではなくて、脱税をしようとしていた人に課せられます。無申告の場合が40%、過少申告の場合は35%と重たくなってしまいます。

刑事罰が科せられる

たんす預金の贈与は節税ではなく脱税です。税務調査を避ける目的でたんす預金をする行為は、悪質性が高いとみなされて刑事罰が科せられることもあります。

2018年に発行された税理士が読む情報誌「税務通信」には、床下収納の金庫の中に1億5,000万円を隠していた人が逮捕された事例も
法定刑では、脱税する意思がありたんす預金をしていた場合は、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科せられます。脱税する意思がなかった場合でも、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられるので注意してください。

盗難や災害で消失することもある

災害や盗難の被害に遭う可能性も0ではありません。このような被害を防止するためには、強固な素材で重量のある金庫を用意してみましょう。簡単には運び出せない、頑丈な金庫の中にタンス預金を保管しておけば、災害や盗難の心配はありません。

インフレが起きると紙幣の価値が下がる

アベノミクスでは、毎年2%のインフレが予定されていますが、仮に予定通りにインフレになった場合は、紙幣の価値は下がっていき目減りします。紙幣の価値が下落してしまうと本末転倒になってしまうため注意してください。

どこに保管していたか忘れてしまう

たんす預金は、屋根裏や物置、冷蔵庫などさまざまな場所に保管されます。一緒に暮らしている家族などにバレないように場所を変える人も多いです。しかし、保管場所を変え続けた結果、「あれ?ここに保管しておいたはずなんだけど…」「盗まれてしまったかも…」というトラブルに発展してしまうのです。保管先を忘れてしまうと大変なことになってしまうので注意してください。

たんす預金はやめよう!贈与税が非課税になる政府対策

マネーセミナー講師
「現金手渡しの贈与がバレないだろうか…」と気を揉むよりも、法に基づいて非課税で贈与したほうが安心できます。政府でも、たんす預金を贈与して若い世代に流れるような贈与対策を用意しています。少しでも、お得な贈与をしたい方は、下記の贈与対策を活用してみてください。

結婚・子育ての一括贈与

2015年の税制改正で結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税が非課税対象となりました。2015年4月1日から2021年3月31日までの期間に、20歳以上50歳未満の方が、結婚・子育て資金に充てるため贈与を受けた場合、上限1,000万円までが非課税となります

期間が定められているため、節税対策を検討している方は、この期間に一括贈与をしてみてください。

教育資金の一括贈与

2015年の税制改正で教育資金の贈与税が非課税対象となりました。2015年4月1日から2021年3月31日までの期間に、30未満の方が、教育資金に充てるため贈与を受けた場合、上限1,500万円までが非課税となります

期間が定められているため、節税対策を検討している方は、この期間に一括贈与をしてみてください。

贈与や相続のマネーリテラシーで賢く節税しよう

今回は、たんす預金を活用すれば贈与や相続を非課税にできるのか?について解説しました。

たんす預金は、税務調査にバレる危険性も高く、刑事罰が科せられる危険性もあります。このようなリスクもあるため、控えておきましょう。

2015年には、国策で「結婚・子育ての一括贈与」「教育資金の一時贈与」が策定されました。2021年3月31日までに、結婚資金や教育資金を贈与すれば、上限金額まで贈与税が非課税となります。

ぜひ、この機会を有効に活用して、お子さまやお孫さんに贈与してあげましょう

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