FXとは外国為替証拠金取引のことをいいます。FXは、手元資金が少なくても大きな利益を出すことができる可能性があるので、非常に人気のある金融商品になっています。
FXは大きな利益を出すことができる一方、大きな損失を負ってしまう可能性がある取引でもあります。
しかし、FXには損失を限定させるためにロスカットという仕組みがあります。今回は、FXのロスカットについて詳しく説明します。
この記事の目次
ロスカットとは
ロスカットとは、一定のラインまで、証拠金が下がったら強制的に決済する仕組みのことをいいます。
一般的には、50%が一定のラインになっています。ロスカットがあるので、損失を一定ラインに抑えることができるのです。
証拠金について
証拠金とは、FXの取引を行うのに必要な資金のことをいいます。例えば米ドル/円で1ドル100円の時にレバレッジ25倍で10,000通貨の取引を行う場合、必要な証拠金は、40,000円です。
証拠金は以下の式で計算することができます。
為替レート×通貨量÷レバレッジ
今回のケースでは、
100円×10,000通貨÷25=40,000円
という風になります。この証拠金がなければ、エントリーすることはできません。取引量に必要な最低保証金があればエントリーすることはできます。
しかし取引をしている間に為替が逆の方向に動けば証拠金はどんどん減ってしまいます。取引に必要な最低保証金を割ってしまっても取引を継続することはできます。
しかし多くのFX会社では、翌日までに最低保証金に戻る資金を入金するように求められます。このことを追証といいます。
追証が発生しているにもかかわらず、入金をしないと翌々日にはロスカットをされてしまいます。
ロスカットが発生してしまうと大きく損をしてしまうことになるのでFX取引をする際は証拠金維持率には最大限注意する必要があります。
ロスカットのメリット
ロスカットの主なメリットは3つあります。それぞれのメリットについて詳しく説明します。
損失が限定される
ロスカットのメリットの1つ目は、損失が限定されることです。FXには、レバレッジがあるので大きな利益を出すことができる一方、損失も大きくなってしまうことがあります。
しかしロスカットがあることによって損失を限定させることができます。損失のラインが50%である場合、証拠金が50%以下になった場合、ロスカットが執行されます。
もしロスカットが無ければ相場が急変した時に資金が0になってしまう可能性もあるのです。ロスカットによってある程度資金は守られることは大きなメリットです。
資金が不足してしまう可能性が少ない
ロスカットのメリットの2つ目は、資金が不足してしまう可能性が少ないことです。ロスカットは、一定のラインで強制決済になるので、基本的には証拠金が不足してしまう可能性は少ないです。
証拠金が不足してしまうと、追加で資金を入金しなくてはいけなくなるので下手をすると借金をしてしまうことになってしまいます。
ロスカットによって借金のリスクが少なくなることは大きなメリットです。
ロスカットのデメリット
ロスカットの主なデメリットは2つあります。
ロスカットが間に合わない可能性がある
ロスカットのデメリットの1つ目は、ロスカットが間に合わない可能性があることです。ロスカットは、一定のラインに到達したら強制的に決済される機能ですが、相場が急激に動くとロスカットが間に合わないことがあります。
例えば、2018年7月から8月かけて起こったトルコリラショックの例があります。
トルコリラが、ものすごい勢いで安くなってしまったため証拠金の50%を下回るスピードが速すぎて正常にロスカットが出来ない事例が多発しました。このように相場が想定以上のスピードで動くとロスカットは間に合わなくなることがあるのです。
ロスカットラインが高ければ安心という訳ではない
ロスカットのデメリットの2つ目は、ロスカットラインが高いとすぐにロスカットに引っかかってしまうことです。
ロスカットラインを証拠金の80%などにしておくと安全に取引をすることはできますが、相場が少し動いただけでロスカットラインに到達してしまう可能性があるので証拠金があっという間になくなってしまう可能性があります。
何度もロスカットに引っかかってしまうと、資金はあっという間に無くなってしまうのでロスカットラインは高ければ高いほど良いというわけではありません。
ロスカットに引っかからないためには
今までのところでロスカットのメリット、デメリットについて理解して頂いたと思います。ロスカットは資金を守るために非常に有効なシステムではありますが、ロスカットに引っかからないのが一番良いことは間違いありません。
そこでこの章ではロスカットに引っかからないための方法について3つ紹介します。
資金管理をしっかり行う
ロスカットに引っかからないための方法の1つ目は、資金管理をしっかり行うことです。FXにおいて資金管理をしっかり行うことは最も大切なことになります。資金管理をしっかり行うことができればロスカットに引っかかる可能性は劇的に減ります。
特に負けている時は冷静に資金管理をすることが難しくなるので負けている時こそしっかり資金管理を行うことが重要になります。
無理のないトレードを行う
ロスカットに引っかからないための方法の2つ目は、無理のないトレードを行うことです。FXは手元資金が少なくても大きな利益を出すことができる取引ですが、ぎりぎりまで資金を突っ込んでしまうとあっという間に負けは大きくなってしまいます。
多少相場が予想外に動いても、証拠金維持率に問題無ければ相場が戻るまで待つこともできます。
資金全部を突っ込むのではなく、余裕を持ったトレードをこころがけることにようにしましょう。
週末に持ち越さない
ロスカットに引っかからないための方法の3つ目は、週末までポジションを持ち越さないことです。週末に想定外のニュースが飛び込んできて月曜の早朝に大きく相場が動くこともよくあります。
このような状況にならないためにも基本的には週末にポジションを持ち越すことは辞めましょう。
ロスカットでよくある質問
この章では、ロスカットによくある質問について説明をします。皆さんが思っているロスカットの疑問についてこの章で解決させるので是非参考にしてください。
ロスカットに対する注意喚起はあるのか?
FX会社にもよりますが、一般的にロスカットの注意喚起はあります。多いのが証拠金が100%を下回った時に警告メールがきます。
ロスカット水準が50%の場合、証拠金の維持率が50%に近づいてくるとまた警告メールが来ることが多いです。
警告メールは来ますが、メールを見るよりも実際の取引画面を見たほうが早いと思います。FXは当然ですがパソコンだけでなくスマホでも取引をすることができるので、ポジションを持っている時は逐一確認するようにしましょう。
ロスカットが発生した後でも取引をすることはできるのか?
ロスカットが発生した後に取引をすることができる資金があれば、当然ですがロスカットが発生した後でも取引をすることは可能です。
ロスカットが発生した日は、その後取引ができなくなるなどルールはありませんので安心してください。
追証が発生したので入金をしたいが15:00を過ぎている場合はどうすれば良いのか?
追証が発生した場合、通常は翌日中に必要な金額を口座に入金する必要があります。
(もちろんポジションの一部を解約して証拠金維持率を回復させる方法もあります。)
銀行振込で証拠金の入金をする場合、15:00を過ぎてしまうと入金が翌日になってしまいます。(最近は、他行間でも即日入金になる銀行が多いですがすべての銀行が即日入金に対応しているわけではありません。)
追証を抱えている人にとって、入金が1日ズレることは死活問題です。1日ズレることによってロスカットが発生してしまうからです。
しかしほとんどのFX会社では、クイック入金という入金方法を導入しています。クイック入金とは24時間365日、いつ入金の手続きをしても即時に入金されるシステムです。
クイック入金を利用すれば、入金する時間に悩まなくて済むようになります。しかしこのクイック入金ですが、電波が悪い所で操作をする場合注意が必要です。電波障害などで正しく操作が完了しないと資金は宙に浮いてしまいます。
資金が宙に浮いている場合、取引FX会社に連絡をして解消する必要がありますが、多くのFX会社では平日の18時程度までしか対応をしてくれません。もし金曜の夜間にクイック入金の操作をしてうまく処理ができなかった場合、月曜日まで資金は浮いてしまうことになるのでクイック入金をする際は電波状況などを確認して慎重に行うようにしましょう。
金曜日のクローズ時点で追証が発生した場合の取り扱いはどうなるのか?
金曜日のクローズ時点、つまり土曜の朝に追証が発生した場合は、一般的には月曜日中に追証を解消する必要があります。土曜日中に追証を解消する必要はないので安心してください。
しかし土日は金融機関があいていないので土日で資金繰りをすることは難しいので、FXを取引する際は、追証に備えてある程度すぐに出せる資金を確保しておくようにしましょう。
最近、消費者金融は土日でも即日融資をしてくれますが、借金をしてFX取引をすることは絶対におすすめできません。いくら土日に消費者金融でお金を借りることができるといっても、借金をしてまで取引をするのはやめましょう。
まとめ
今回は、FXのロスカットについて説明しました。ロスカットは資金保全のために非常に重要な仕組みです。
今回の記事でロスカットについてしっかり理解頂ければ幸いです。