日本人は仕事中心の人が多いので、仕事で悩みやストレスを抱えている方が大勢いらっしゃるのではないでしょうか。働かないでも不労所得がもらえたらどんなに幸せだろう…と想像を膨らませてしまうかもしれません。
株式投資をすれば、配当金という不労所得をもらえるので、つらい仕事から解放されて楽しく生活できるようになるかもしれません。そんな「配当生活」を夢見て、投資を始める人も増えています。
この記事では、配当生活をするにはどれくらいの資金が必要なのか、また配当生活をするにあたっての注意点を解説していきます。つらい仕事から解放されるためにも、配当生活を目指して知識を身につけていきましょう。
この記事の目次
配当生活とは?
株式投資をすると、株主は定期的に「配当金」というお金をもらうことができます。仕事の収入ではなく、配当金の収入で生計を立てることを、「配当生活」と言います。
株主になって配当をもらうには、配当を支払ってくれる企業の株式を買うだけです。配当金は不労所得なので、正直に言って、労働して給料をもらうよりもずっと楽にお金を得ることができます。
仕事がしんどい人や、退職を考えている人は、配当生活に憧れるのではないでしょうか。しかし、配当に生活を頼りすぎるのもリスクがあります。
リスクについては後述するとして、まずは夢の配当生活をするために、何円くらいの投資をする必要があるのか考えていきましょう。
配当生活に必要な資金
配当生活をするために、投資に何円つぎ込めば良いのかを考えていきます。目標の年収を100万円、400万円、600万円の3パターンに分類し、それぞれどれくらいの金額の株式投資を行えば良いのか計算していきましょう。
なお、株式投資の配当金は、投資額に対して1%~5%程度の金額になります。ここでは5%の配当金をもらえる(=配当利回り5%)と過程して計算していきます。
年間100万円の場合
まず、年間100万円の配当金をもらうためにどれくらいの投資金額が必要か計算していきましょう。100万円で生計を立てるのは無理がありますが、もっと多い配当金をもらうための投資金額の計算に役立つ基準になるので、計算していきます。
必要な投資金額を求める計算式は以下のとおりです。
必要な投資金額=配当金の収入÷配当利回り
この式に数値を当てはめると、次のとおり計算することができます。
必要な投資金額=100万円÷0.05=2000万円
配当金で年間100万円を獲得しようとするだけでも、2000万円の投資が必要になります。配当利回り5%は株式投資でも高い方なので、甘めに見積もって2000万円と考えておきましょう。
年間400万円の場合
サラリーマンの平均年収が400万円強であることを目安に、400万円の収入を配当金で得るための投資金額を計算していきましょう。同様に利回りを5%とすると、前に計算した結果が使えます。
100万円の配当金を得るためには、2000万円の投資が必要でした。100万円の4倍が400万円なので、400万円の配当金を得るには2000万円の4倍である8000万円の投資が必要になります。
年間600万円の場合
40代、50代の会社員だと、年収は600万円ほどまで上がっている人も多いでしょう。早期リタイアを見据え、同じ収入を配当金で得るためには、どれくらいの投資金額が必要なのか計算してみましょう。
同様に利回りを5%として、前の計算結果を使いましょう。100万円の配当金を得るためには、2000万円の投資が必要でした。100万円の6倍が600万円なので、600万円の配当金を得るには2000万円の6倍である1億2000万円の投資が必要になります。
ここでは例として100万円、400万円、600万円の配当金を得る場合の投資金額を考えました。500万円、700万円など他の金額の配当金の場合を計算したい場合は、同じように計算してみましょう。
配当生活に必要な投資金額まとめ
計算してきた配当生活に必要な投資金額をまとめてみましょう。すべて配当利回り5%で運用した場合の計算結果です。
年間の配当金 | 必要な投資金額 |
---|---|
100万円 | 2000万円 |
400万円 | 8000万円 |
600万円 | 1億2000万円 |
以上の結果から、意外と大きな金額を投資しないと生計を立てられるくらいの配当金を得られないことが分かりました。資産があって投資できる方はこの表を目安に投資をしていただければと思います。
資金が足りない人も、諦める必要はありません。年間100万円でも配当収入があれば、今より給料が下がっても、ストレスの少ない仕事に転職するなどの選択肢が出てきます。少しでも配当収入があれば、人生はより自由になるので、資金が少ないからといって諦める必要はありません。
配当生活の注意点
憧れの配当生活ですが、大金が必要なだけでなく、気を付けなければならない注意点もあります。実際に配当生活を始める前に、4つの注意点を押さえておきましょう。
減配されるリスクがある
配当金は永久にもらえると保証されているわけではありません。企業の業績悪化などにより、配当が減らされる「減配」が行われる可能性があります。年によってもらえる配当が変動するかもしれないので、配当生活をするなら収入が減ってしまうリスクを理解しておきましょう。
企業が悪くなくても、景気が悪化して業績が悪くなり、減配される可能性もあります。実際、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大によって多くの企業の業績が悪化し、減配に踏み切った企業も多くありました。例えば、日本航空は渡航制限や外出自粛の影響で大幅な減益となり、配当金を0円にする処置を取りました。それまでの配当利回りは3%程度でしたが、2020年は0%の予定となっています。
このように、誰も悪くない場合でも突然に配当が減らされ、配当生活をしている人の収入が減ってしまうリスクがあります。この点を踏まえた上で、これから解説する3つの注意点を押さえ、リスクに備えておきましょう。
完全退職ではなく副業を続ける
配当生活をするなら、完全に退職して仕事を全くしないのではなく、ストレスの少ない仕事や簡単な仕事をして、少しでも良いので給与をもらえるようにしておくと良いです。配当収入が突然無くなってしまったら、仕事の給与で補えるからです。
アルバイトやクラウドソーシングなど副業らしい仕事で構いません。少しでも良いので、自力で稼げる手段を持っておくと安心して配当生活ができます。
現金の貯金もしておくべき
生活費を配当収入でまかなえる人でも、現金の貯金はしておきましょう。配当が減って、仕事の収入も減った場合、必要なお金を貯金からまかなうためです。
例えば、病気やケガで働けなくなったとき、運悪く配当収入まで減ってしまったら、治療費や入院費の支払いに困ってしまうかもしれません。また、老後に配当が減ってしまったら、それから仕事を始めるのも体力的に難しい人が多いでしょう。
いざというときにお金で困らないようにするためにも、現金の貯金はしておくと良いです。貯金があれば、配当が減ってもしばらくは安心して暮らせるはずです。
年金も忘れずに積み立てる
老後の生活費を配当収入でまかなえそうな方も、年金は現役時代から準備しておきましょう。国民年金や厚生年金はもちろんですが、個人年金なども必要に応じて積み立てておきます。
老後、配当でゆったり生活しようとしているときに配当が減らされてしまったら、生活に困ってしまうと考えられます。新たな仕事に就こうとしても、雇ってくれる会社が見つからなかったり、体力的に難しかったりするためです。
老後にお金の心配をしなくて済むよう、配当だけでなく年金も準備しておきましょう。
配当だけに依存せず他にも収入の柱をつくっておこう
配当生活をするのに必要な投資金額と注意点について解説してきました。
数千万円から1億円を投資して、やっと配当だけで生活できそうだ、というイメージを持っていただければと思います。
働かないでも暮らしていける配当生活は憧れですが、必要な投資金額が大きかったり、減配のリスクに備える必要があったり、楽しいことだけではありません。
配当はもちろん嬉しいものですが、それだけに依存せず、仕事を続けたり貯金や年金の準備をするのも忘れないようにしましょう。