モメンタム投資とは?投資方法や注意点まで徹底解説

テクニカル分析をされている人の中で、「モメンタム投資」という投資法を聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「モメンタム」とは、「勢い」という意味です。そしてモメンタム投資とは、株価が上がっている時に買い、下がっている時に売る、いわゆる「順張り投資」のことです。

実はとてもオーソドックスなテクニカル分析なのですが、使い方や注意点などわかりにくい部分も多くあります。
そこで今回は、テクニカル分析をされるなら知っておきたい、モメンタム投資について使い方や注意点まで徹底的に解説していきます。

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モメンタム投資を知る前に相場の「トレンド」を理解する

チャートをスマホでチェックする男性
モメンタム投資とは、いわゆる順張り投資であることは先述させて頂きましたが、これを理解するためには、相場の「トレンド」というものを理解しておく必要があるのです。

世界の金融センターとして知られる、アメリカニューヨークのウォール街の格言に、「トレンドはフレンドだ」というものがあります。つまり投資をするには、まずトレンドを理解しておくことが重要といえるのです。

ではなぜトレンドが重要なのでしょうか?

実はトレンドというものは、一度形成されるとそのトレンドが崩れる確率よりも、継続する確率が高いためです。たとえば以下のようなチャートを見てみましょう。


引用:マネックス証券 4665ダスキンの直近6ヶ月のチャート

上記は4665ダスキンの2020年4月からの6ヶ月チャートです。こちらの画像を見ると、赤い線で下降トレンドが、青い線で上昇トレンドが描かれていることが確認できるかと思います。

このようにトレンドは一度形成されれば、一定期間は継続されるものなのです。

そしてトレンドを理解するために重要なポイントが、上記のようにチャートとチャートを結んで「トレンドライン」を引くことです。上記の画像の場合では、赤い線と青い線がトレンドラインとなります。

トレンドラインの引き方は簡単で、下記のようなチャートを描く場合、ある安値と次の安値を結ぶだけです。

引用:マネックス証券 6752パナソニックの直近6ヶ月のチャート

上記画像の緑色の部分の安値と安値を1本のラインで結んでみます。すると以下のようなトレンドラインが描けます。

このようにある安値と別の安値を1本のラインで結ぶだけでトレンドラインを引くことができます。ここで引いたトレンドラインを見てみると、その後の株価の動きは、先ほど引いたトレンドライン上で推移していることが確認できるでしょう。

もちろん下落トレンドも同様に、ある高値と別の高値を結べばトレンドラインを引くことができます。

ではトレンドの重要性やトレンドラインについて理解したところで、モメンタム投資の具体的なトレード方法について見ていくことにしましょう。

モメンタム投資のトレード方法

モメンタム投資のトレード方法は、以下の3つの流れで行います。

モメンタム投資のトレード手順

  1. モメンタム投資に向く銘柄を見つける
  2. トレンドラインを引いてみる
  3. モメンタムの指標を確認する

では以下で詳しく見ていきましょう。

①モメンタム投資に向く銘柄を見つける

モメンタム投資に向く銘柄を見つけるためには、トレンドを形成しつつあるチャートを探す必要があります。では様々な銘柄のチャートを1つずつ見つけていくかというと、それでは非効率です。

そこで活用したい機能が、証券会社のHPにある「スクリーニング機能」です。ここでは楽天証券の「スーパースクリーナー」を使って説明していきます。

引用:楽天証券 スーパースクリーナー

スーパースクリーナーは以下のように、様々な指標から数値を指定して絞り込みができます。

モメンタム投資に向く銘柄をここから絞り込みを行います。ここでは「テクニカル」の「値上がり率(%)」を見ていきましょう。今回は値上がり率を3ヶ月前、東証1部の銘柄で設定してみます。すると1760件の銘柄に絞り込みができました。

銘柄数が多い場合は、値上がり率の数値を変更してみてください。より大きい数値にすることで、わかりやすい上昇トレンドが形成されている銘柄を見つけることができます。ここでは6753シャープを見てみます。

上記のチャートを見てみると、上昇トレンドがこれから発生しそうなチャート形状になっていることが確認できます。このように証券会社のスクリーニング機能を利用して、効率的にモメンタム投資に向きそうな銘柄を見つけていきましょう。

では続いてトレンドラインを引いていきます。

②トレンドラインを引いてみる

それでは先ほどの6753シャープのトレンドラインを引いてみましょう。直近の安値を見つけ、それらを結ぶトレンドラインを引いて見ます。

ここでは上記のようなトレンドラインを引いてみました。すると直近の株価が、先ほど引いたトレンドラインに接触しそうなことが確認できると思います。

ただしここでを買いのタイミングとするのはまだ早いです。モメンタム投資で大切なポイントは、トレンドラインにチャートが接触し、その後反発してからが買いのタイミングとなります。

そしてこのようなトレンドラインだけではなく、さらにテクニカル指標であるモメンタムを活用すると、より買いのタイミングを見極めやすくなります。

③モメンタムの指標を確認する

モメンタムの指標は証券会社のHPで、テクニカル指標を追加するだけで表示することができます。ここでも上記同様に楽天証券のHPで見ていきましょう。

上記画像の下部がモメンタムの指標です。青い直線がモメンタム0で、モメンタムが0以下から0以上に上抜ければ買いのタイミングとなります。さらにモメンタムが0以上かつ、その後も上向いている場合は、上昇トレンドと判断することができます。

逆にモメンタムが0以上から0以下に割り込むと、売りのタイミングです。さらに0以下でさらにモメンタムが下降した場合は、下落トレンドと判断します。

では早速モメンタムを活用して分析していきましょう。まず先述のとおり、6753シャープのチャートはトレンドラインに接触しそうになっています。今後このトレンドラインに接触し、反発すれば買いのタイミングと見てもいいでしょう。

さらにモメンタムを見てみると、直近で0以下から0以上に抜けて、上向いていることが確認できるでしょうか?

このようにトレンドラインと、モメンタムを両方活用することで、買いのタイミングがより見極めやすくなります。今回の6753シャープは上昇トレンドができあがりつつあるため、今後トレンドラインに接触し、反発すれば買いと判断できます。

このようにトレンドを理解し、トレンドラインを引き、モメンタムの指標を活用することで、買いのタイミングを見極めることを理解頂けたかと思います。では最後にモメンタム投資をする上で注意点もあるため、以下で詳しく見ていきましょう。

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モメンタム投資の2つの注意点

買いと売りのタイミング
モメンタム投資には以下の3つの注意点があります。

モメンタム投資の注意点

  1. モメンタムの「ダマシ」に注意
  2. モメンタム投資は市場が大きく変化する局面に弱い
  3. トレンドが崩れたら即損切りを行う

それではこれらについて詳しく説明していきます。

①モメンタムの「ダマシ」に注意

モメンタム投資をする上で、テクニカル指標のモメンタムを利用することは、買いのタイミングを見る上で重要であることはお伝えさせて頂きました。しかしモメンタムは常に正しく機能するとは限らないと覚えておきましょう。

たとえば上記の6753シャープの場合、モメンタムが0以下から0以上に抜けて買いのタイミングを形成しつつあります。そしてこのタイミングで買い入れても、すぐに下落してしまう可能性があるのです。

このようにテクニカル指標やチャートで買いのシグナルが出ていても、予想と逆の方向に株価が動くことを「ダマシ」といいます。モメンタム投資でもこの「ダマシ」に遭わないような配慮が必要です。

では具体的にどのようにして、「ダマシ」に遭わないようにするかというと、モメンタムの算出期間を調整すれば解決します。先ほどの6753のシャープの場合では、モメンタムの計測期間を10日としましたが、たとえばこちらを25日や9週など長い期間にしてみるといいでしょう。

②モメンタム投資は市場が大きく変化する局面に弱い

モメンタム投資は、市場が大きく変化するような局面に弱いことを覚えておきましょう。たとえば「アメリカの大統領選挙前後」や「重要経済指標の発表前後」などは、市場が大きく動く可能性が高いため、モメンタム投資が機能しなくなることが多いです。

ではなぜ市場が大きく変化する局面では、モメンタム投資が機能しなくなるのでしょうか?

モメンタム投資は、先述のとおりトレンドを意識した投資です。たとえ順調にトレンドが形成されていたとしても、何らかの要因で市場が大きく変化してしまうかもしれません。そしてトレンドが崩れれば、売りに転じる投資家が増えます。さらにこの売りに転じた投資家に乗じて、他の投資家も一斉に売りに転じ大きくトレンドが変化するのです。

モメンタム投資は、市場が落ち着いており、変化が少ない局面で行うようにしましょう。

③トレンドが崩れたら即損切りを行う

モメンタム投資をする場合、自分が想定していたトレンドが崩れた場合、即損切りを行うようにしましょう。投資初心者の場合は、自分が買った銘柄に愛着が湧いてしまい、損切りを躊躇することが多いです。

しかしモメンタム投資では、トレンドが崩れたら即損切りを行わなければ、大きな損失に繋がる可能性があるのです。

こちらは上記の「②モメンタム投資は市場が大きく変化する局面に弱い」でも説明させて頂きましたが、一度トレンドが崩れて投資家が売りに転じれば、それに乗じたモメンタム投資家がさらに売りを仕掛けます。

このためモメンタム投資は、トレンドが崩れてしまうと、あっという間に下落(または上昇)する可能性が高いのです。トレンドが崩れればきっぱり損切りをして、また新たなトレンドを形成しそうな銘柄を探すようにしましょう。

トレンドを意識することが大事

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モメンタム投資は、テクニカル分析の中でもオーソドックスな分析方法です。シンプルだからこその注意点もありますが、株式投資をする方であれば実践してみてもいい投資方法だと思います。

またトレンドを意識することは、モメンタム投資のみならず他の投資方法でも大事です。今が「上昇トレンド」なのか、「下落トレンド」なのかは常に見極めるようになっておくといいでしょう。

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