近年、資産運用に大きな注目が集まっています。 資産運用には様々な方法がありますがもっとも一般的なのは、 株式取引であると思います。
株式取引とは、証券取引所に上場されている株式を購入して値上がり益や配当益、株主優待を狙っていく投資のことをいいます。
株式の購入方法は主に2つあります。1つ目は、手元資金の範囲内で株式を購入する現物取引、2つ目の方法は、証券会社から借金をして行う信用取引です。
現物取引に比べて信用取引に関しては知らない方も多いと思います。 そこで今回は信用取引について詳しく説明します。
この記事の目次
信用取引とは
信用取引とは、株式投資の取引手法の1つで手元資金や株式を担保にして手元資金よりも大きな取引を行うことができる取引形態のことをいいます。
株式取引を行ったことがない方や株式取引初心者にとっては、手元資金で行う現物取引が一般的であると思いますが、 実は信用取引の方が、株式取引では一般的な取引です。
実際に個人投資家の売買のうち約 60%が信用取引を利用しています。 つまり信用取引は現物取引よりもたくさんの人に利用されている取引手法なのです。
信用取引は最大手元資金の 3.3倍までの取引をすることができます。 この信用取引には様々なメリットデメリットがあります。
信用取引のメリット
この章では信用取引のメリットについて説明します。信用取引には様々なメリットがありますが、信用取引の主なメリットは3つです。
レバレッジ効果
信用取引のメリットの1つ目は、レバレッジ機能です。 レバレッジ機能とは、 テコの原理のことで、元手資金の○倍の取引ができる機能のことをいいます。
例えば100万円で購入した株式の株価が 10%上昇した場合の利益は10万円です。200万円で購入した株式の株価が10%上昇した場合の利益は20万円です。
当たり前ですが取引金額が大きくなればその分利益も大きくなります。 現物取引の場合、手元資金がなければ大きな取引をすることは出来ません。
しかし、信用取引であれば手元資金の3. 3倍までの資金で株式取引を行うことができます。つまり手元資金が少なくても大きな利益を出せる可能性があるのです。レバレッジ機能を利用できることは信用取引の大きなメリットになります。
デイトレードがやりやすくなる
信用取引のメリットの2つ目は、 デイトレードがやりやすくなることです。 デイトレードとは株式を買ってから売却するまでの一連の取引を1日で完結させる取引のことをいいます。
デイトレードは1日という短い期間で利益を出すことができるので非常に人気のある取引手法です。
しかし、株式取引でデイトレードをする際には、注意点があります。現物取引の場合、その日のうちに売却した株式に関しては、同じ資金で再度同じ株を買うことはできません。
いまいち分かりにくいので例をだして説明します。例えばA株を100万円購入しその日のうちに売却したとします。再度この100万円を使って同じ日にA株を購入することはできません。
このような制限があることはデイトレードを行う上で大きなマイナス点です。なぜかというと、デイトレードは小さな値幅を何度も狙っていく取引です。
利益が少し出た段階で利益確定を行い、再度株価が下がったところで購入するといったことを繰り返すのがデイトレードの王道です。
同じ株で何度も売り買いをすることができなければ、デイトレードを効率的に行うことはできません。
現物取引では、同じ資金で何度も同じ株式を購入することはできませんが、信用取引では同じ資金で何度も同じ株の売買を行うことができます。
なぜ信用取引では同じ資金で何度も同じ株の取引ができるのか?
なぜ信用取引では同じ資金で何度も同じ株の取引ができるかというと、差金決済というものが認められているからです。差金決済とは、損益のみのやりとりのことをいいます。
例:100万円の資金で100万円の株を買い、105万円で売る
《現物取引の場合》
証券口座の現金は、100万円→ 0円 → 3営業日後に105万円となる
《信用取引の場合》
証券口座の現金は、100万円→ 105万円となる
現物取引は差金決済が禁止されています。
信用取引は差金決済ができるため、何度も同じ資金で同じ株式の売買を行うことが出来るのです。
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空売りができる
信用取引のメリットの3つ目は、空売りができることです、空売りとは、簡単にいうと株価が下がっている時に、利益が出る取引手法です。
現物取引では、空売りができないので株価が上昇している時しか利益を出すことができません。
株価の下落スピードは上昇スピードの約4倍といわれています。株価の下落局面でも利益をだせることは信用取引の大きなメリットです。
では、空売りの仕組みについて簡単に説明します。
空売りの注文を出すと、証券会社は注文が出た株式を注文を出した投資家に貸してくれます。
投資家はあくまで株式を借りているだけなので、一定の期日(6か月以内)に株式を証券会社に返さなければいけません。
例えば株価10,000円のときに株式を借りたとします。その後、株価が下落して9,000円になったとします。
9,000円になった時点で株式を買えば、証券会社に借りた時の株価は10,000円なので1,000円安く同じ株式を調達したことになります。
この差額が投資家の利益になるといった仕組みです。
配当相当額がもらえる
信用取引のメリットの3つ目は、配当相当額がもらえることです。
現物取引の場合は配当が確定する権利確定日に株式を保有していれば、配当を受け取ることができるのは当然ですが、株式を借りた状態の信用取引の場合でも、配当に相当する配当相当額を受け取ることができます。
ただし配当相当額を受け取るには注意点もあります。
信用取引の場合、配当相当額をもらえるのは、買建てしている場合です。空売りしている場合は、逆に配当相当額を払わなければいけません。
なぜかというと、配当があると、権利落日に配当相当額だけ株価が下落します。
現物株式を保有しているのであれば、配当金が受取れるため損失が出ることはありません。
しかし、信用取引では配当金がないため、買建てで取引している場合は配当の分だけ損となり、空売りの場合は配当の分だけ利益となります。
これでは買建てと空売りで不公平が生じてしまうので、その分を調整するため、配当相当額があるのです。
一般の配当は証券口座以外の銀行口座でも受け取ることができますが、配当相当額は取引している証券口座でしか受け取ることができないことも注意点になります。
信用取引のデメリット
信用取引には様々なメリットがありますが、当然ですがデメリットもあります。信用取引の主なデメリットは3つです。
大きな損をしてしまう可能性がある
信用取引のデメリットの1つ目は、大きな損失をしてしまう可能性があることです。信用取引のメリットの1つ目のレバレッジがデメリットになってしまうことがあるのです。
レバレッジ効果は、うまく利用すれば手元資金だけで取引するよりも大きな利益を出すことができます。しかし逆にいうと損失も大きくなってしまう可能性があることです。
レバレッジ効果は資金効率を高める非常に有効な投資手法ではありますが、その分失敗した時に大きな損失を負ってしまうことは、信用取引の大きなデメリットです。
追証(追加証拠金)が発生する可能性がある
信用取引のデメリットの2つ目は、追証が発生する可能性があることです。追証とは追加証拠金のことで、株価の下落により証券会社に預けているお金が減ってしまった時に追加のお金を求められることです。
追証が発生してしまうと決められた期日までに追加でお金を証券会社に入金しなければなりません。
もし追加でお金を入れることができなければ強制的に決済されてしまいます。強制決済になってしまうと大きな損失を負うことになるので追証が発生することは信用取引のデメリットになります。
金利がかかる
信用取引のデメリットの3つ目は、信用取引を利用すると金利がかかることです。信用取引とは証券会社にお金を借りていることになります。
お金を借りると当然ですが、金利が発生します。レバレッジ効果によって大きな利益が出せればあまり問題になりませんが、金利が発生することは信用取引のデメリットです。
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FXと信用取引
FXとは、外国為替証拠金取引のことをいいます。FXにも信用取引と似た仕組みがあります。
この章ではFXの特徴について説明します。
FXのレバレッジは最大25倍
株式の信用取引の最大レバレッジは3.3倍ですが、FXの場合、国内FX業者の利用の場合で最大25倍のレバレッジを利用することができます。
海外FX業者の場合は、数百倍のレバレッジを利用することができます。FXは株式取引に比べて桁違いのレバレッジを利用することができるのでより大きな利益を狙える取引になります。
但しレバレッジが高いということはその分損失額も大きくなってしまうことになるので株式の信用取引以上に資金管理が重要になります。
ロスカットという仕組みがある
FXには、株式の信用取引と同様に追証があります。またFXには、ロスカットという強制決済システムもあります。
ロスカットとは証拠金が一定金額以下になってしまった場合に強制的に決済されるシステムのことをいいます。
FXは高いレバレッジが使える分、リスクも大きいのでロスカットのような強制決済システムがあるのです。
まとめ
今回は信用取引について説明しました。信用取引を行うことによってデイトレードがやりやすくなったり、大きな資金を狙えるなどの様々なメリットがありますが、大きく損失を出してしまう取引でもあります。
信用取引を行う時は、資金管理をしっかり行うことが何よりも大切です。この記事を参考に、信用取引の理解を深めて頂ければ幸いです。