株式投資をしている人がよく使う言葉であるナンピン買いとは、保有している株式の株価が下がったとき、同じ銘柄を買い増しすることです。ナンピン買いをすると、平均購入単価を下げられるメリットがあります。
この記事の目次
計算で理解するナンピン買いのメリット
下落相場でナンピン買いをすると、保有株数は増えますが、平均購入単価が下がるメリットがあります。これについて、具体的に計算して理解していきましょう。
例えば、最初に株価100円の株式を100株買った場合を考えます。このとき、投資に使った金額は1万円です。
その後、株価が80円に値下がったとします。100円のときに株を買ったので、当然、含み損が出ていますよね。平均購入単価を下げるため、ここでナンピン買いして100株購入し、8000円を投資します。
これで投資に使ったお金は合計1万8000円で、200株を保有したことになります。1株あたりいくらで購入できたか計算すると、1万8000円÷200株で、90円となります。もともと株価が100円のときに買ったのですが、ナンピン買いをすることで平均購入単価を下げることができました。
ナンピン買いのメリット
この計算からも分かるとおり、下落相場で含み損が出たときにナンピン買いをすれば平均購入単価を下げられます。平均購入単価が下がると、マイナス状態からの回復がしやすくなるので、株価が値上がりしたときに早く利益が出るようになります。
上記の計算例だと、ナンピン買いをしない場合は株価が80円から100円に回復するまで利益が出ません。ですが、ナンピン買いして平均購入単価を90円に下げたので、株価が80円から90円に回復すれば利益が出ます。
このように、株価が下がったときにナンピン買いをすれば、値上がりしたときに利益を出しやすくなります。株式は安く買って高く売ることで利益を出せるので、購入単価をできるだけ安くしていくのは合理的な選択です。
ナンピン買いのデメリット
一方で、ナンピン買いには大きなリスクもあります。下落局面で損失が膨らみやすいデメリットについて解説していきましょう。
ナンピン買いはタイミングが重要です。タイミングを外してしまい、ナンピン買いしたあとも株価が下落していくと、含み損が膨らんでいくことになって非常に危険なのです。
上述した例では、株価が100円のときに100株買い、株価が80円に下がったときにも100株買えば、平均購入単価が90円に下がることを解説しました。ですが、そのまま株価が下がり続けて70円、50円、30円、と下がっていったらどうでしょうか?いつまでも90円には戻ってきません。
さらにナンピン買いを続け、70円で100株、50円で100株と買っていけば、平均購入単価は下げることができます。しかし、株価が30円まで落ち込んで回復しなかったら、マイナスはマイナスのままです。30円に下がってから一気に株式を買えば良かったのに、それより高い価格で買ってしまっているので、投資は失敗と言えるでしょう。
ナンピン買いは平均購入単価を下げられるメリットがある反面、長い下落相場が続く場合は含み損が膨らむ可能性が高いです。リスクの高い取引であることは理解しておきましょう。
ナンピン買いして良いケース
ナンピン買いはリスクが大きい取引方法ですが、ナンピン買いして良いケースもあります。以下の2つのケースに当てはまる場合、ナンピン買いが役に立つでしょう。
株価を気にしない場合
含み損がいくら出ても構わない場合など、株価を気にしない場合はナンピン買いをして問題ありません。含み損が気にならない人とは、配当金をもらうために投資しており、「安く買って高く売ること」には興味が無い投資家などです。
配当金をもらうために投資している人は、株式を売却する予定が無いので、含み損を気にしないことが多いです。含み損よりも、配当金がいくらもらえるかを重視しているからですね。
配当金狙いの投資家にとって、株価はあまり重要ではありません。株価を気にしない人は、積極的にナンピン買いしても問題ないでしょう。
一時的な下落の場合
下落相場が長く続くときのナンピン買いはリスクが高いと解説しました。反対に、一時的な下落ならナンピン買いは良い戦略です。ナンピン買いした後すぐに反発して株価が上昇すれば、利益が出やすいからです。
ただし、下落が一時的なのか継続するのかは、判断が難しいところです。投資の知識や経験がある上級者でないと、ナンピン買いで成功するのは難しいでしょう。
一時的に下落したときにナンピン買いするのは理想的な投資方法ですが、必ず上手く行くとは限りません。初心者にはおすすめできないので、次の項目では初心者でもできる低リスクな投資方法について解説します。
初心者にはドルコスト平均法がおすすめ
投資の初心者には、ナンピン買いではなくドルコスト平均法での投資がおすすめです。ドルコスト平均法とは、定期的に決まった金額だけ株式などを買い付けることです。例えば、毎月1日に1万円分の株式を買い付けする、といったルールを決めて淡々と買っていく方法です。
ドルコスト平均法のメリットは、株価が高いときは少しだけ、株価が低いときはたくさんの株式を買えることです。そのため、自然と平均購入単価が下がっていきます。
初心者にもおすすめな理由は、ナンピン買いと違って、良いタイミングを見計らって取引する必要が無いからです。定期的に決まった金額の株式を買えば良いので、簡単で誰にでもできます。
ドルコスト平均法は無難な投資方法なので、ナンピン買いで成功するよりは利益が小さくなります。一方で、ナンピン買いで失敗するよりは、損失を抑えることができます。初心者の方には、ナンピン買いで失敗するリスクを取るよりも、ドルコスト平均法で地道に利益を積み上げることをおすすめします。
ナンピン買いは上級者向けの手法
ナンピン買いについて解説してきました。一時的な下落相場では平均購入単価を下げられるので利益を出しやすいメリットがある一方、下落相場が長く続くときは含み損が膨らむデメリットがあります。
相場の流れを見極めてタイミングを見計らって投資しなければならないナンピン買いは、上級者向けです。初心者の方は、ドルコスト平均法で無難に取引することをおすすめします。
ナンピン買いはハイリスク・ハイリターンの取引なので、正しく使えば大きなリターンを得られる投資方法です。ご自身の投資の知識や経験と相談しながら、使っていただければと思います。