テクニカル分析とは、チャートを分析して今後の値動きを読むことをいいます。
チャートとは過去の値動きを折れ線グラフで表示したものになります。このチャートを分析をして今後の値動きを読むのです。
株価や為替が動くのは、買いたい人と売りたい人がいるからです。チャートは、過去の市場参加者の心理を表しているものになります。
チャートを分析することによって、「こういうチャートの動きの時には、このように動く」という傾向が見えてきます。
テクニカル分析はチャートの過去の動きを分析して今後の値動きを予想するものです。
今回はこのテクニカル分析の具体的なやり方について説明します。
この記事の目次
テクニカル分析の分類
テクニカル分析は大きく分けて2つのカテゴリーに分けることができます。トレンド系の指標を使ったテクニカル分析とオシレーター系の指標を使ったテクニカル分析に分けることができます。
トレンド系の指標を使ったテクニカル分析の種類
テクニカル分析のカテゴリーの1つ目は、トレンド系の指標を使ったテクニカル分析です。
トレンド系の指標と言うのは今後の方向性やトレンドを掴む為に使われる指標です。
トレンド系の指標はその名の通りトレンドを読む指標になるので順張り(現在上昇しているのであれば今後も上昇、下落しているのであれば今後も下落する。というように、今後の相場を読むこと。)の時に向いているテクニカル分析の手法になります。
この章では代表的ななトレンド系の指標について説明します。
移動平均線
トレンド系の指標の1つ目は、移動平均線です。移動平均線とは、過去の一定期間の為替レートの終値の平均値を1つの線で結んだ指標になります。
移動平均線を利用することによって過去の一定期間の為替レートの動きの傾向を知ることができます。
移動平均線が上向きであれば、上昇トレンド、下向きであれば下降トレンドと判断することができます。
移動平均線の使い方
移動平均線は、移動平均線をもとめる期間が短いほど現在の為替レートに近い数値が出てきます。
それはそうですよね。今の為替レートに近い、短い期間の平均値は、現在の為替レートに近いことは直感的に分かると思います。
逆に長い期間の平均値になればなるほど、長期的なトレンドを表した線になります。移動平均線は、直感的に理解することができるので非常に使いやすいトレンド系のテクニカル指標になります。
移動平均線の短期と長期を合わせることによって短期トレンド、長期トレンドが一目瞭然になるのです。
移動平均線を用いた分析方法
移動平均線を用いた分析方法で最もメジャーな方法は、「ゴールデンクロス」と「デッドクロス」です。
ゴールデンクロスになった時は「買い」、デッドクロスになった時には「売り」の判断をすることができます。
ゴールデンクロスは、短期の移動平均線が上昇トレンドで、中・長期の移動平均線を下から上に抜けたときのことをいいます。
デッドクロスは、 逆に短期の移動平均線が下降トレンドで、中長期の移動平均線を上から下に抜けたときになります。
ゴールデンクロスが現れると通常相場が強気であることをあらわし、一方デッドクロスが現れると通常相場が弱気であると判断することができます。
このゴールデンクロス、デッドクロスは非常に分かりやすい事象ですが、ゴールデンクロス・デッドクロスにも注意点があります。
それは「騙し」と呼ばれる現象です。移動平均線は、為替のトレンドを掴むテクニカル指標になるので当然ですがトレンドが出ている時に強いテクニカル指標になります。
移動平均線で注意が必要なのはレンジ相場、すなわち相場がもみ合っている時です。
これも当然ですが、レンジ相場には、上昇もしくは下落のトレンドがありません。トレンドがないからレンジ相場になっているのです。
レンジ相場の場合為替レートは、平均値の近くを行ったり来たりウロウロしています。そして、移動平均線は過去の平均を計算して算出することから、買いや売りのサインは少し遅れて出てきます。
レンジ相場では、このタイムラグによって実際は、売りのときなのにゴールデンクロスが出て、買いのときなのにデッドクロスが出てしまうことがあります。
こうしたテクニカル指標の分析間違いを騙しと読んでいます。移動平均線はレンジ相場の際に騙しのサインが出やすいので注意が必要なのです。
ボリンジャーバンド
トレンド系の指標の2つ目は、ボリンジャーバンドです。
ボリンジャーバンドとは統計学に基づいて作られたチャート分析の方法です。分かりやすく説明すると、高校受験や大学受験の時の偏差値を思い浮かべて頂くと分かりやすいと思います。受験でいうと偏差値50が平均です。
平均の偏差値50からどれくらい点数にばらつきがあるかを見ていくのは偏差値です。
ボリンジャーバンドもまったく一緒で平均の動きからどのくらい上下に値動きのばらつきがあるかを見ていくのです。
ある一定の確率で値動きが収まりやすいレンジを「σ(シグマ)」と呼びます。平均値から見て上のレンジを+1σ、平均値からみて下のレンジを-1σと呼びます。これを2倍したものをそれぞれ+2σ、-2σと呼びます。
ボリンジャーバンドの使い方
ボリンジャーバンドでは、+1σ、-1σに入る確率は、約68.2%になります。+2σ、-2σに入る確率は約95.4%です。
つまり+2σ、-2σをそれぞれ超えたら「買われすぎ」「売られすぎ」と判断することが出来るのです。
もちろん+2σ、-2σに入る確率はあくまで約95.4%なので100%ではないですが高い確率で今後の値動きを読むことは出来るのです。
ボリンジャーバンドは、為替がどの範囲で収まるかがどれくらいの確率で収まるかが確定しているので初心者の方にも使いやすいチャート分析の方法です。
ボリンジャーバンドを使った分析方法
ボリンジャーバンドでは、+2σ、-2σに入る確率は約95.4%です。
これを利用し、現在の為替レートが+2σと交差したときには売り、−2σと交差したときに買いとする、範囲内に入る確率が95%を利用した逆張り戦略を取ることが出来ます。
価格が2σ内で変動する確率が約95%となることから、理論的に価格はそのほとんどが2σの範囲に収まるはずであり、2σを越えるということは過去の値動きからすればいずれは2α内に戻ることを前提にしたボリンジャーバンドを利用した分析方法になります。
オシレーター系の指標を使ったテクニカル分析の種類
トレンド系のテク二カル指標が、相場の大きなトレンドを読むのに利用するのに対し、「買われすぎ」とか「売られすぎ」といった相場の強さなどを掴む為に使われる指標のことをオシレーター系の指標といいます。
この章では代表的なオシレーター系の指標について説明します。
RSI
オシレーター系の指標の1つ目は、RSIです。RSIとは、一定期間の為替レートの変動幅が一定期間の上げ下げ両方の変動幅の合計と比較して上げ幅の割合を表した指数のこといいます。
RSIは、過去一定期間のレートの上げ幅の合計が、上げ下げ両方の変動幅の合計と比較してどれぐらいの割合だったのかをパーセントで算出した数値です。
変動幅の計算方法は為替レートの終値の差分で、日足であれば前日終値と当日終値の差分となります。
RSIの使い方
RSIが50%よりも高い値のときは、為替の変動の合計が値上がりのほうが大きいことを示すため相場は上昇傾向と判断することができます。
逆に50%よりも低い値のときは為替の変動の合計が値下がりのほうが大きいことを示すため相場は下落傾向と判断されます。
RSIを使った分析方法
RSIは、トレンドが出た、初期段階ではあまり力発揮するテクニカル指標ではありません。しかしトレンドの終焉の時に、RSIは大きな力を発揮することになります。
RSIが70%を上回ったが、再び70%を下回った時は、上昇トレンドの終焉のサインになります。
逆にRSIが30%を下回ってしまったが、再び30%を上回った時には、下降トレンドの終焉のサインになります。
RSIも移動平均線同様騙しはありますが、トレンドの転換を知るうえでは非常に有効なテクニカル指標であるといえます。
ストキャスティクス
オシレーター系の指標の2つ目は、ストキャスティクスです。ストキャスティクスでは、一定期間の買われている勢い、売られている勢いを示すオシレーター系の指標のことです。
ストキャスティクスの使い方
ストキャスティクスでは、為替チャートの画面の一番上を100、一番下を0とします。ストキャスティクスの値が80以上ならば買われすぎであり、20以下であれば売られ過ぎであると判断することができる指標になります。
ストキャスティクスを使った分析方法
現在の為替レートの位置がストキャスティクスの80以上ならば買われ過ぎなので反落する可能性が高いことから「売り」を入れます。
一方、現在の為替レートの位置がストキャスティクスの20以下ならば売られ過ぎなので反転する可能性が高いことから「買い」を入れます。
ファンダメンタルズ分析と平行して行うことより精度が高まる
今回は、テクニカル分析の種類について説明しました。テクニカル分析は、相場を予想する上で重要な分析方法になります。
テクニカル分析には、トレンド系の指標と、オシレーター系の指標があります。是非、多くの指標を使ってご自身にあったテクニカル分析を身に付けて頂ければ幸いです。
また、テクニカル分析以外にも相場を予想する分析方法にはファンダメンタルズ分析というものがあります。
ファンダメンタルズ分析とは、業績やGDPなどの経済の基礎条件を基に今後の相場を予想する分析手法です。
テクニカル分析は、ファンダメンタルズ分析と平行して行うことによってより精度を高めることが出来ます。
是非様々な分析手法について知っておくことをおすすめします。