投資の世界ではよく利益確定と損失確定が重要であるといわれます。利益確定のことを利食いといい、損失確定のことを損切りといいます。
人間は本能で損失を確定することを嫌がるので、損切りは非常に難しいことというふうにいわれています。
しかし利食いも損切りと同様に非常に難しいものなのです。いくら含み益が出ていても、利益を確定させなければ投資で儲けることができません。
利食いは損切りと同様に、投資の世界で生きていくためにはとても大切なことです。そこで今回は利食いについて詳しく説明していきます。
この記事の目次
利食いとは
利食いとは、値上がりした株式などを売却して利益を確定させることをいいます。利益を確定させることなので簡単にできそうに思えますが、適切に利食いを行うことは非常に難しいことです。
なぜなら人間は利益を失うのが嫌だからです。少し利益が出たタイミングでも「このあと下がってしまったら利益を取ることが難しい」と思い、株価や為替がさらに伸びそうなタイミングでも、小さな利益で利益確定をしてしまうのです。
逆に損切りは、損を確定させることが嫌なので、少ない損失のタイミングで損切りをする事はなかなかできません。結果として損切りのタイミングを間違えてしまい大きな損失を被ってしまうことが多々あります。
投資の原則は利大損少です。利益は大きく損失は小さくしなければいけません。しかし人間の本能に従って投資をすると利少損大になってしまうのです。
これでは投資で勝つことができません。投資で勝つためには適切な利食いが非常に重要なのです。
適切な利食いができなければ、いくら含み益を抱えていてもそれは現実の利益ではありません。利益を確定させることにっよって、初めて利益は実現された状態になるのです。
利食いを適切におこなうための4つの方法
適切な利食いをおこなう方法は、主に4つあります。
- ルールを決める
- 値動きに合わせて利食いのラインを上げる
- 購入理由を理由にした利食い
- 相場全体の状況を見ての利食い
それぞれの方法について詳しく説明していきます。
鉄のルールを決める
適切な利食いをするためには、取引をおこなう前に利食いのルールを決めておくことが必要です。例えば「利食いは20%上がったタイミングでおこなう」とあらかじめ決めておき、その条件になったときに機械的に必ず実行する!と決めておくのです。そうすれば、利食いのタイミングで迷う事はありません。
もちろん20%以上あがる可能性もありますが、1回の取引で20%の利益を取ることができれば投資としては大成功ということができるでしょう。
利食いのタイミングを決めるときは、合わせて損切りのタイミングも決めておくことが重要です。損切りは一般的に利食いの半分もしくはそれ以下にしておく事が良いとされています。利食いと同じ%にしてしまうと損失幅が大きくなり、あっという間に資金がなくなってしまうからです。
値動きに合わせて利食いのラインを上げる
先ほど説明した「あらかじめ利食いのルールを決めておく」と反するかもしれませんが、値動きに合わせて利食いのラインを上げるのも適切な利食いをおこなう1つの方法です。
例えば100万円投資をして、20%上昇した120万円を利食いの目標にしていた場合、急激に株価が上がることも考えられます。ものすごいタイミングで10%株価が上昇した場合20%のラインで利食いをしてしまって良いのか悩む方も多いでしょう。
そのような時は利食いと損切りのラインを一緒にあげることをおすすめします。例えば利食いを20%損切りを10%に設定していた場合、それぞれ10%ラインを引き上げるのです。先程のケースの場合は、利食いのラインは130万円になり、損切りのラインは100万円になります。
この方法をとれば、仮にそのあと株価が下落してしまっても、当初設定していた金額よりも損切りのラインが上がっているので、損失を防ぐことができます。この手法をトレール取引といいます。
購入理由を理由に利食いラインを決める
例えばPERを基準に株を買った場合、PERが15%を超えた段階で利食いをするというのも正当な利食いのルールといえます。
このように購入理由を理由にして、利食いのラインを決めるのも良い方法のひとつです。
相場全体を見ての利食い
例えばリーマンショックやコロナショック、トルコショックのようなことが起きると、個別銘柄の事情に関係なく株価や為替は急落することがよくあります。
このような相場環境の場合は、個別の銘柄の事情に関係なく、ひとまず利食いをしておくという判断も適切な利食いのルールということができるでしょう。
ただし相場全体を見ての利食いは、あとから見れば簡単なことのように思いますが、相場が急変する前に解約することはかなり難しいということを付け加えておきます。
株式投資や投資信託の利食いとFXや先物取引の利食いは違う
ここまで利食いのルールの大切さについて説明をしてきましたが、この章では株式投資や投資信託の利食いと、FXや先物取引の利食いは違うことについて説明をします。
株式投資や投資信託の場合、長期で保有をすれば価格が上昇する傾向にあります。それはアメリカのニューヨークダウなどを見れば明らかでしょう。
もちろん一本調子で右肩上がりというわけではありませんが、結果的に長期のチャートを見ると日経平均株価を除くほとんどの株価指標は右肩上がりになっています。つまり長期で保有すればするほど利益が大きくなる可能性があるということです。(そもそも投資は数年間使う予定のない余裕資金で行うことが前提なので、長期で運用できない生活資金などで投資をおこなう事はやめましょう。)
そして株式投資や投資信託の場合、株式投資の信用取引を除くと強制決済つまりロスカットがありません。相場が一時的にどんなに下落したとしても強制的に決済される事はないので、解約しなければいけない資金以外の場合では、長期で保有することが可能なのです。
株式投資や投資信託は、長期で保有すればするほど利益が大きくなる可能性がある。
しかしFXや先物取引の場合は、ロスカットがあります。一時的な相場の下落だとしても一瞬でもロスカットラインに到達してしまうと強制決済が発動されてしまいます。
これではせっかく利益が出ていたにもかかわらず、いつ大きく損を出してしまうかわかりません。
FXや先物取引の場合は一定の利益が出たときには利食いするようにしましょう。
利食い千人力と言う相場の格言がある
利食い千人力とは、「とりあえず利益を確定させることが大切である」という相場の格言です。また損失を確定させる相場の格言をのことを、見切り千両といいます。
とりあえず利益や損失を確定させることによってお金は自由になります。お金が自由になれば、新たな投資先に投資することも可能になります。
つまりタイミングに関係なく、利食いや損切りは重要ですよという相場の格言になります。
うまく利食いや損切りができない事は多々あります。利食いや損切りがうまくできなくても過度に落ち込むことなく、この相場の格言を思い出すようにしましょう。
まとめ
今回は利食いを適切におこなうための4つの方法について説明しました。
適切なタイミングで利食いをする事は、損切りよりも難しいかもしれません。人間には必ず欲があるので、利益が出ているのに利益を確定しない事はとても難しいことだからです。利食いや損切りのタイミングについては、セミナーでプロのトレーダーから学ぶこともおすすめです。
適切なタイミングで利食いをできる投資家は、大きな利益を得ることができる可能性が高い投資家ということができるでしょう。